しかし、きれいな仕上がりを目指すのであれば、ペンキを塗装する前の下地処理が重要です。下地処理をせずにそのままペンキ塗装してしまうと、塗りムラができたりペンキが剥がれたりする原因になります。
このコラムでは、DIYで壁を塗る前に必要な下地処理の方法について解説します。下地処理前のチェックポイントや、下地処理をしないと起こりやすい失敗例なども紹介し、下地処理の重要性をお伝えしていきますね!
壁塗装前の下地処理はなぜ必要?

DIY塗装が初めてだと、「壁にそのままペンキを塗るだけの作業」と認識している人もいるかもしれません。私も塗装に挑戦する前は、刷毛やローラーで壁に色をつける作業だと大雑把に考えていました。 しかし実際は、塗装をきれいに仕上げるためには、下地処理は欠かせないものになります。
下地処理には、主に次の工程が含まれます。
・塗装面(壁)の洗浄
・穴やひび割れ補修
・塗膜の剥がれ補修
・サンディング(足付け)
・下塗り
これらの作業を行うことで、塗料の密着性が高まり、早期の剥がれなどが置きにくくなります。洗浄で塗装面の汚れを落とし、補修により凹凸を減らすことは、仕上がりを均一にするために重要です。
DIYで壁を塗る前に必要な下地処理の方法

以下は、DIY塗装の下地処理前に確認したいチェックポイントです。
①埃や油汚れ、手垢など目立つ汚れはないか?
②カビは生えていないか?
③ヤニや落書きなどの汚れはないか?
④既存の塗膜が浮いたり剥がれたりしていないか?
⑤穴やひび割れはないか?
⑥壁紙の浮きや剥がれはないか?
もし、①〜③に当てはまるのであれば、汚れの種類に応じた洗浄が必要になります。④~⑥のように壁そのものに不具合がある場合は、下塗りの前に補修が必要です。
ここからは、それぞれの状態に合わせた下地処理の方法をみていきましょう。
壁の汚れを落とす

壁の基本的な洗浄方法は以下の通りです。
1.ハタキや掃除機で埃を取り除く
2.水かぬるま湯で布を湿らせ、拭き掃除を行う
日常的に付いた汚れであれば、このような簡易的な清掃で対応できます。しかし、油汚れやカビ、ヤニなどの汚れがある場合は、汚れの種類に応じた洗浄が必要です。
汚れの種類に応じた洗浄を行う
油分やヤニは塗料が密着しにくくなる原因になります。塗装後、時間が経ってから汚れが浮き上がってくることがあるため、油汚れやヤニ汚れは家庭用中性洗剤や石鹸水などで落としておきましょう。塗装面に洗剤が残ると変色の原因になるため、水拭き後に乾拭きをして、十分に乾燥させます。
油やヤニ、手垢などは油性の汚れなので、アルカリ性である重曹を薄めた水を使い、水拭きする方法も有効です。
なお、一般的なビニールクロスは水拭き可能ですが、壁紙の素材によっては水拭きができないものもあるため、製品ごとに記載を確認してください。
壁の穴やひび割れを補修する

パテにはさまざまな種類があるため、用途や壁の素材、補修の規模に応じて適したものを選ぶ必要があります。
DIYで使用される一般的なパテの種類と特徴をみてみましょう。
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パテの種類 |
特徴 |
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石膏系パテ |
焼石膏を主成分とし、水と練り合わせることで硬化する。石膏ボードの穴や目地などに向いている。 |
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樹脂系パテ |
アクリル樹脂など樹脂を使用したパテで、小さな穴や凹みを埋めるのに向いている。 |
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セメント系パテ |
セメントが主成分で、モルタルやコンクリートなどの補修に向いている。浴室など水回りにも用いられる。 |
ビニールクロスを貼った石膏ボードなどの壁を補修する場合、石膏系パテや樹脂系パテが適しています。このほか、補修する場所に応じた専用パテ・補修材を取り扱っているメーカーもあります。漆喰や土壁、木材などを補修する場合は、下地に対応した補修材を選ぶことが大切です。
1.粉と水を混ぜる(水の分量は製品ごとの説明を確認する)
2.滑らかなペースト状になったら、塗装面の穴やひび割れが気になる部分をパテで埋める
3.ヘラで平らにして乾燥させる
石膏系パテは、製品によっては硬化が早いものもあります。ただし、練り置きできる時間も限られる場合があるため注意が必要です。
壁紙の剥がれ補修を行う

不具合のある箇所に壁紙用接着剤を塗って貼り直し、ローラーなどでしっかり圧着しましょう。もし、壁紙が全体的に浮いている、下地まで傷んでいる場合は、壁紙の張り替えなども検討が必要です。
接着剤が十分に乾いて壁紙の浮きや剥がれが改善されたことを確認したら、下塗りに進みます。
サンディング(足付け)を行う
ビニールクロスに塗装する場合、下塗り前にサンディング(足付け)を行うと塗料の密着性が高まります。<br><br>
サンドペーパーの番手は「#240」を基本とし、軽く研磨して表面を荒してから塗装します。パテなどで補修した後は、凹凸をなくすためにサンディングを行います。この場合、「#180〜240」のサンドペーパーを使用するのが一般的です。<br><br>
サンディング後に研磨粉を除去し、床や塗装しない壁、家具などを養生して、下塗りに進みます。養生に必要な道具や手順については、別の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
下塗りを行う

下塗り塗料には「プライマー」と「シーラー」の2種類があります。それぞれ役割が異なるため、下地の素材に応じて使い分けが必要です。<br><br>
塗料の密着性を高めるのに重要な役割をもつのがプライマーで、ビニールクロスやプラスチック、金属など表面がつるつるした素材に適しています。<br>
一方、シーラーは塗料の吸い込み止めの役割が大きく、石膏ボードやコンクリート、木材など水を吸水しやすい素材に適しています。壁紙にサインペンなどで落書きがある場合や落とせないヤニ汚れがある場合に対応した、ヤニ・アク・シミ止めシーラーなどもあります。<br><br>
ただし、シーラーの機能を持ったプライマーもあるため、用途や相性の良い素材などは製品ごとの確認が必要です。<br><br>
下塗り塗料はよくかき混ぜて乳化させ、ローラーや刷毛で塗装します。上塗りまでの乾燥時間は気温や湿度、換気条件に加えて、製品によって異なります。まずはメーカーの情報を確認しましょう。
下地処理をしないと起こりやすい失敗例

ここでは、下地処理をしないと起こりやすい失敗例を紹介します。
塗膜が剥がれる・浮く
塗装面に汚れや埃、油分などが残っていると、塗料が十分に密着せず、剥がれの原因になります。ペンキを塗った直後は問題なさそうに見えても、硬化が始まるにつれてひび割れが起こりやすくなったり、乾燥後すぐに塗膜が剥がれてきたりするケースがあります。汚れの種類や程度によっては「汚れ浮き」が生じることもあるため、まずは洗浄・サンディングを行い、それでも落としきれない場合は汚れに対応したプライマーで下塗りするのがおすすめです。
塗りムラやシミが目立つ
塗装面の汚れだけでなく、下地に凹凸があったり塗料の吸い込みが大きかったりすると、塗りムラが目立ちやすくなります。下地処理が不十分だと塗料が均一に乗らず、色合いの濃淡に差が出てしまうためです。注意したいのは、塗りムラができる原因は下地処理以外にもある点です。例えば、以下は塗りムラができる要因になります。
・塗料の希釈が不適切
・攪拌(かくはん※混ぜること)が不十分
・塗膜の厚みや塗り方が不均一
・気温や湿度の条件が不適切
・乾燥が不十分もしくは急速な乾燥
塗りムラが出た場合、やり直しするのに再度上塗りが必要となり、費用も手間もかさみます。失敗を防ぐためにも、下地処理はもちろん、塗装に適した条件や塗装工程をしっかり確認しておきましょう。
思った以上に塗料を消費してしまう

塗料を無駄に消費しないためにも、塗装前に下地の状態を確認し、必要に応じて下地処理を行いましょう。
塗料だけでなく、下塗り剤も多く必要になることがあるため、素材に適したプライマー・シーラーを選ぶことも重要です。
その上で、ペンキの必要量を事前に計算し、「塗装作業中に足りなくなった!」ということのないように準備しましょう。 子ども部屋などに可愛らしい黄色を選びたいなら「バターカップ」のような明るい黄色を、リビングや玄関などに落ち着いた黄色を取り入れたいなら「レインスリッカー」のような控えめな黄色を選ぶなど、部屋の用途や目指す雰囲気に合わせて色味を選ぶとよいでしょう。
まとめ|DIYで壁を塗る前は下地処理を必ず行いましょう
DIYはもちろん、プロの塗装現場でも下地処理は仕上がりに大きく影響する工程です。塗装面の洗浄から補修、サンディング、下塗りをしっかり行うことで、初心者でも綺麗な仕上がりを目指せます。
一方、下地処理が不十分なまま塗装すると、塗膜が剥がれたり塗りムラ・シミが発生したりすることがあります。特に壁の汚れや傷、凹凸をそのままにしておくと、仕上がりに影響しやすいです。
「塗装の成功は下地処理が9割」と言われるくらい重要な作業なので、DIYで壁を塗る前は下地処理を必ず行うようにしましょう。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
