特に、新築やリフォーム後は、接着剤による壁紙の臭いが気になるケースがあります。
接着剤にはVOC(揮発性有機化合物)が含まれていることがあり、この物質は化学臭の原因になるだけでなく、シックハウス症候群を引き起こす可能性があるものです。
そのため、いやな臭いを我慢しつづけるよりも、臭いの原因を推測し、対策を行うことをおすすめします。
このコラムでは、壁紙が臭う原因や臭いが続く期間、対策法などを解説していきます。
目次
壁紙の臭いの原因は大きく分けて3種類ある
部屋の大部分を占める壁紙ですから、いやな臭いが放出されると、空間全体が不快なものになってしまいます。 「壁紙が臭う」――そんな時は、まず臭いの原因を特定することが重要です。壁紙の臭いの原因は大きく分けて3種類あります。壁紙自体の臭いと、後から付いた臭い、そのどちらに当てはまるか確認しておきましょう。
壁紙そのものの臭い

壁紙に主に使用されているのは「塩化ビニル樹脂(PVC)」という素材です。PVC自体に強い臭いはありませんが、PVCに含まれる添加剤の中には臭いがあるものもあります。
例えば、樹脂を柔らかくしなやかにするために「可塑剤(かそざい)」が使用されることがあります。その中には、空気中に放散されると、特有の化学臭がする成分もあります。(例:フタル酸エステル、アジピン酸エステルなど)
可塑剤のほかにも、以下のような添加剤が用いられることがあります。
・安定剤(成型時の安定性や耐久性維持のためのもの)
・充填剤(硬さ調整のためのもの)
・滑剤(成型をスムーズにするもの)
・着色料、顔料(壁紙に色をつけてデザイン性を高めるもの)
壁紙そのものからの臭いなのか、壁紙に使用されている接着剤の臭いなのかの区別がつきにくいのが現状です。 しかし、原因を推測することは可能です。
PVC由来の臭いは、新品特有のビニール臭で、おろしたての浮き輪やビニール傘に例えられます。
壁紙に使用される接着剤の臭い

接着剤は、壁紙だけでなく壁や天井、床等の建材や家具、塗料などに広く使用されています。
接着剤は樹脂・溶剤・添加剤で構成されており、このうち溶剤は樹脂などを溶かすために含まれるものです。油性接着剤では有機溶剤が使用されますが、乾いて硬化する際に「VOC(揮発性有機化合物)」として大気中に放出されます。
接着剤に含まれるVOCの代表例は、トルエンやキシレン、酢酸エチル、ホルムアルデヒドなどです。これらには臭気があり、室内で大量に使用するときつい悪臭の原因になります。
また、VOCの一部はシックハウス症候群の原因物質であり、目・鼻への刺激や頭痛、めまいなどを引き起こすことがある点に注意が必要です。
現在は、シックハウス対策として建築基準法などによる規制が進み、壁紙や接着剤にも低VOC製品が広く採用されています。
後から付いた臭い(生活臭など)

壁紙の臭いの主な原因は以下の5つです。
①煙草のヤニ
煙草を吸う部屋では、煙に含まれる成分が壁紙の表面に付着し、内部に入り込むことで壁紙が臭うことがあります。煙草の煙にはニコチンやタール、その他のVOCが多量に含まれており、これらが壁紙に蓄積されることで臭いが染みつきます。
②カビ
キッチンや洗面所など湿気の多い環境では、カビが繁殖しやすく、カビ臭が発生することがあります。表面のみなど軽度のカビであれば除去できる場合がありますが、壁紙の裏側や下地にまで繁殖した場合は再発しやすいため注意が必要です。
③ペット
ペットと暮らしている家庭では、ペットの体臭や排泄臭、エサの臭いなどが壁紙に付着し、それが原因で壁紙が臭うことがあります。
④油はね
キッチンなど調理をする部屋では、油はねが発生します。特に調理をする習慣がある場合は壁紙への油の付着も多くなり、調理臭とともに臭いの原因になりやすいです。
⑤その他の生活臭
人が生活をする以上、どうしても生活臭は発生するものです。上記以外にも、汗や体臭、ゴミの臭いなどさまざまな生活臭が壁紙に付着し、蓄積することで臭いの原因になります。
壁紙の臭いは、居住年数や在宅時間、臭いの強さ(成分)など複数の要素で変わってきます。例えば、同じ10年住んでいる場合でも、在宅時間が長い人や調理頻度の高い人とそうでない人とでは、臭いの付着しやすさが違います。
壁紙が臭う期間はどれくらい?

新築や壁紙の張り替えを行った場合は、数日から数週間は臭いが続く可能性があります。
接着剤が乾燥(硬化)するまでの時間は24時間程度ですが、VOCの放散は乾燥後も続くことがあるため、一概には言えません。
臭いの感じ方は個人差があるため、2〜3日で鼻が慣れる人もいれば、1ヶ月くらい臭いが気になる人もいるでしょう。また、換気の頻度や気温、湿度などの影響で臭いが長引くこともあります。
新築やリフォームに際する臭いは、多くは自然に消えるものです。もし、長期にわたって臭いが軽減しないのであれば、壁紙や接着剤以外に原因があるかもしれません。
・換気不足
・床材や建具、家具などからの臭いの発生
・接着剤の乾燥が不完全
・高温多湿な環境
「換気を十分に行っても壁紙の臭いが消えない」「臭いが強くて生活に支障が出る」といった場合には、施工会社に相談することをおすすめします。
壁紙が臭う時の対策法|なかなか消えない場合どうする?

新築や張り替えに伴う臭いは、換気をおこなったり時間が経過したりすることで改善することがありますが、稀に解決しないこともあります。
生活臭などが原因の場合、それぞれに合った対策が必要です。
【基本】換気をおこなう
壁紙そのものや接着剤が原因の場合、臭い軽減の基本対策となるのが「窓開け換気」です。締め切った部屋では臭いがこもりやすくなるため、こまめな換気をおこない、空気を入れ換える必要があります。換気を行うと、臭いとともにVOCなどの汚染物質も室外に出すことができます。
一般的には、1時間に5〜10分程度の頻度で換気を行うのが良いとされています。 効率の良い換気のポイントは、対角線上の窓を開けることです。2ヶ所の窓を開けることで空気の通り道ができると、外に空気が流れやすくなります。
空気清浄機を使用する
窓のない部屋や不在時間が長いなどの理由から、窓開け換気が難しいこともあるでしょう。そうした場合には、空気清浄機を活用して部屋の空気を綺麗にする方法が有効です。
ただし、空気清浄機は空気中に漂う臭い成分や微粒子を除去する役割が大きく、壁紙の臭いを軽減できない場合もあります。
空気清浄機で臭い軽減が期待できるのは、以下のようなものです。
・生活臭
・タバコ臭
・ペット臭
・カビ臭
・調理臭
あくまでも空気中の臭いに対する効果であり、壁紙に染みついた臭いまで除去することは難しいです。臭いの根本的解決をしたい場合は、他の対策法との併用を基本としましょう。
脱臭機を使用する
活性炭フィルターなどを搭載し、VOCの吸着機能を備えた脱臭機などもあります。オゾン酸化法や触媒分解法などさまざまな方式があり、空気中のVOCを吸着して臭いを軽減したり室内のVOC濃度を下げたりする効果が期待できます。
空気清浄機同様、壁紙や接着剤そのものから発生するVOCを除去するものではありません。脱臭機を活用する場合も、換気と併用することが重要です。
掃除をする

まずは、タオルなどでの拭き掃除を行い、壁紙表面についた汚れをしっかりと除去することが大切です。
臭いの原因によって適切な掃除方法が異なるため、発生源を確認することをおすすめします。
①タバコのヤニ
壁紙のタバコ臭には、ヤニ取りクリーナーを拭きかけ、拭き掃除を行うのが効果的です。
ヤニは植物性の油脂なので、アルカリ性の重曹水やセスキ炭酸ソーダを水で薄めて壁紙に拭きかけると汚れが落ちやすくなります。
②カビ
壁紙にカビが発生している場合は、消毒用エタノールが効果的です。壁に直接拭きかけるか、雑巾・キッチンペーパーなどに染み込ませて拭き取ります。
③ペット臭
ペットの尿によるアンモニア臭には、クエン酸などの酸性洗剤が効果的です。ただし、ペット臭には体臭や皮脂などさまざまなものが含まれるため、原因に応じて洗剤を使い分ける必要があります。
壁紙の素材によっては水拭きできないもの・洗剤が使えないものもあるため、製品の仕様を事前に確認しましょう。
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壁紙そのものの「塩ビ臭」は表面に後から付着した臭いではないため、掃除で軽減することはできても、わずかに臭いが残ります。換気を基本的な対策法とし、時間経過とともに臭いが改善するのを待ちましょう。 |
臭いやVOCを封止するペンキで塗装する
ただし、どんなペンキでもよいというわけではなく、VOCなどの揮発成分の放出を防ぐ機能を持った製品を選ぶ必要があります。
また、油性塗料は有機溶剤(シンナー)を含むため、きつい臭いが気になるケースが多いです。VOCが放散されることで、中毒症状やアレルギー、シックハウス症候群を引き起こすこともあるため、室内塗装では推奨されていません。
室内で壁紙の臭い対策として塗装するのであれば、水性塗料がおすすめです。
水性塗料は有機溶剤の代わりに水を使用しており、臭いやVOC量が少ないため、室内塗装で主流になっています。
ちょっとした臭いでも気になるという方は、低臭タイプやVOCゼロのペンキを選ぶと安心です。
エコス社のオーガニックエアピュアペイントは、VOCなどの有害物質を吸着・中和して封止するタイプの塗料です。塗料自体がVOCを全く含まないため、赤ちゃんやペットがいる家庭で使用するのにも適しています。
塗装によって壁紙の汚れが目立たなくなるメリットもあるため、壁紙の臭いが気になる時は対策の一つとして検討しましょう。
どうしても臭いがきつい場合は張り替えも検討する

壁紙そのものが臭いの発生源になっている場合や、生活臭などの臭い成分が壁紙内部に入り込んでいる場合などは、表面的な対策では解決できないことがあります。
もし、「壁紙の臭いがなかなか消えない」「どうしても臭いがきつい」という場合は、施工会社やハウスメーカーに相談しましょう。原因によっては、壁紙の張り替えが必要になることもあります。壁紙を張り替えることで、臭いが軽減した事例は少なくありません。
まとめ|壁紙の臭いの原因に合った対策を行いましょう
壁紙の臭いは、原因によって効果的な対策法が異なります。まずは、換気や掃除などを試してみて、それでも臭いが気になる場合は塗装や壁紙の張り替えを検討することになります。壁紙の臭いを放置すると、部屋の快適性を損なうだけでなく、汚れた空気による健康被害のリスクも起こりえます。臭いの程度によっては早めに原因を確認し、適切に対処しましょう。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
