新築特有の臭いは、主に建材や接着剤などから放散される成分が原因です。人によっては頭痛などの体調不良を引き起こすことがあり、シックハウス症候群などの健康被害に繋がる可能性があります。
今回は、新築の臭いはいつまで続くものなのか、新築が臭う原因や問題点、対策法をあわせて解説していきます。
目次
新築が臭う原因は?化学臭の正体は何?

この臭いの主な原因は、建材や接着剤、塗料等に含まれている「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれる物質です。
揮発性有機化合物(VOC)とは?
VOCは「Volatile Organic Compounds」の略で、揮発性があり大気中でガス状になる有機化合物の総称です。 揮発性とは、常温で気体になりやすい状態のことを指し、VOCは沸点によって細分化されています。代表的な物質はトルエン、キシレン、スチレン、酢酸エチル、ホルムアルデヒドなどがあり、その数は200種類にも及びます。
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種類 |
臭いの特徴 |
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トルエン |
ガソリンのような臭い |
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キシレン |
ガソリンのような臭い |
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スチレン |
都市ガスのような臭い |
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酢酸エチル |
刺激的なシンナーのような臭い |
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ホルムアルデヒド |
ツンと鼻を刺すような刺激臭 |
これらの臭いは人によって感じ方が異なるため、特に気にならない人もいれば、頭痛や吐き気、めまいなど体調不良を起こす人もいます。
新築の臭いはいつまで続く?

VOCは日が経つにつれて減少していきますが、放散量や期間は使用した建材・接着剤・塗料の種類、換気状況、温度・湿度、家の気密性など複数の要因に影響されます。 そのため、「新築の臭いは〜日で完全に消える」と一概に言い切れないのが現状です。多くの場合は、数ヶ月から数年で自然に気にならなくなるといわれています。
例えば、日本VOC測定協会のデータでは、100日経過後のホルムアルデヒド濃度は2分の1に、トルエン濃度は5分の1に減衰するとされています。
また、新築の臭いを軽減するために、一般的な住宅の建設・リフォーム現場では「VOC放散期間(からし期間)」を設けています。
VOC放散期間とは、工事完了後から引き渡しまでの間の放置期間のことです。通常は1週間から数週間の期間を設け、換気をしっかりと行い、接着剤や塗料を完全乾燥させます。
これにより、VOC濃度を指針値以下に下げることが可能です。
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厚生労働省では、室内空気中の総揮発性有機化合物の暫定目標値を400μg/m³としています。この数値は健康被害が出るか出ないかの基準値ではなく、あくまでも室内空気の質を評価するためのものです。 |
新築の臭いが続くことで生じる問題とは

トラブルを未然に防ぐためにも、新築の臭いが続くことで生じる問題について把握しておきましょう。
室内の空気質(IAQ)が低下する
室内空気質(IAQ)とは、Indoor Air Qualityの略で、室内空間の空気の清浄度や快適性のことです。IAQの評価に用いられる指標には二酸化炭素濃度や温湿度、粉じん量があり、VOC濃度もその一つです。これらの数値が高くなると、室内空気質が低下し、咳や喘息、息切れ、頭痛、めまい、アレルギー症状などの健康リスクが生じることがあります。

シックハウス症候群とは、住宅の高気密化やVOCなどの化学物質を放散する建材・内装材の使用により、新築やリフォーム後に、居住者にさまざまな体調不良を生じている状態を指します。症状には個人差がありますが、代表的な例は以下の通りです。
・目の異常(目への刺激)
・皮膚の異常(痒み、赤み、皮膚炎、粘膜の炎症)
・消化器系の異常(吐き気、腹痛、下痢)
・呼吸器系の異常(呼吸器疾患の悪化、喘息)
・その他(疲労、体力衰退、不眠、のどや鼻の痛み)
また、シックハウス症候群と区別がつきづらいですが、化学物質過敏症を引き起こす恐れもあります。
化学物質過敏症とは、生活環境の中で化学物質に接することで起こる不定愁訴です。
主な症状に、嗅覚過敏や目・鼻・喉への刺激、皮膚の赤み、かゆみ、頭痛、疲労感などが挙げられます。 シックハウス症候群が主に室内で発生するのに対し、化学物質過敏症は室内外問わず原因物質に触れることで生じるものです。
新築の臭いが気になる時の対策法

【基本】換気を徹底する
新築の臭い対策で基本かつもっとも重要となるのは、換気の徹底です。新築住宅では、建材や接着剤からVOCが一定期間放散されるため、換気によって発生そのものを止めることはできませんが、室内に溜まったVOCや臭いを屋外へ排出し、濃度を下げる効果が期待できます。
窓開け換気を行う時は、2ヶ所以上の窓を開けて空気の通り道を作ることが重要です。風上と風下(風のふく方向)の両方を開放するのが効果的といわれています。
高気密・高断熱住宅では24時間換気システムを前提に空気の流れが設計されているため、換気システムを運転しつづけ、臭いが気になる時は一時的に窓を開けて換気するようにしましょう。
ベイクアウトを行う
一般家庭におけるベイクアウト(ベークアウト)とは、室温を一時的に上げることでVOCの放散を促し、その後換気を行って屋外に排出する方法です。この方法は、建材などにホルムアルデヒドの未反応物やトルエンなどの溶剤が残留している場合に有効とされています。
その一方、加熱しすぎることで建築物にダメージを与える可能性もあると言われます。
また、ベイクアウト後の換気が不十分だと、部分的に化学物質の濃度が高くなることがあり、体調不良を悪化させるケースもみられます。
ベイクアウトを行う際は、自己判断をせず、メーカーや施工会社の指示を確認しておくと安心です。
機能性塗料で上塗りする

新築の臭いに効果が期待できるのは、VOCを吸着・中和するタイプの塗料で、その多くは塗料自体にVOCがほとんど含まれない(あるいは全く含まれない)という特徴があります。
この機能性塗料の一例がエコスのエアピュアペイント(上塗り塗料)・エアピュアプライマー(下塗り塗料)です。 エアピュアには「モレキュラーシーブ」と呼ばれる特殊な成分が含まれており、エアピュアペイントにはVOCを閉じ込める機能が、エアピュアプライマーには空気中のVOCを吸着する機能があります。
塗装後に塗膜が形成されると、VOCを吸着・中和して再放出しないため、新築の室内環境を改善したい人におすすめです。
エアピュアの上からチョークボードペイントを塗装すれば、黒板として文字や絵が描ける壁になります。
施工会社・ハウスメーカーに相談する

・使用する建材に問題がある
・接着剤の使用量などに問題がある
・換気設備に不具合がある
・施工不良や欠陥箇所がある
これらに該当する場合、施工側が状況を確認し、原因特定のために臭気測定やVOC濃度測定などが必要になるケースがあります。
その結果、換気扇の設置やベイクアウトの実施、空気清浄機の導入での対応となる場合もあれば、施工不良や欠陥箇所を点検・補修が行われる場合もあります。
まずは、施工会社やハウスメーカーに状況を伝え、適切な対応を相談することをおすすめします。
【最終手段】建材や壁紙の交換を検討する
新築の臭い対策の最終手段として、建材や壁紙の交換を検討する場合があります。施工会社や専門業者による点検・補修を行っても臭いが軽減しないのであれば、建材や壁紙自体が臭いの発生源になっている可能性があるからです。
内装リフォームを行う際は、建材や壁紙に含まれるホルムアルデヒド発散量の等級を確認し、「F☆☆☆☆(フォースター)」など発散量の少ないものを選ぶようにしましょう。
建材や壁紙の交換は、保証期間内なら施工会社に交渉が可能ですが、保証対象外となった場合は張り替え業者に依頼するか、DIYで張り替えを行うことになります。
まとめ|新築の臭いが気になる場合は早めの対策が肝心です
「新築住宅特有の酸っぱい臭いや化学臭が気になる」といった事例は少なくありません。居住空間の臭いは、不快に感じたり集中力を低下させたりするだけでなく、室内空気質(IAQ)を低下させることがあります。
すべてのVOCが有害といわれているわけではありませんが、住宅建築に用いられる建材や壁紙、接着剤、塗料にはホルムアルデヒドなどの複数の法律で規制されている有害物質が含まれている可能性があります。
VOCによるシックハウス症候群などの健康被害のリスクも考慮すると、新築の臭いが気になる場合は早めの対策を行うことが大切です。 まずは換気を行い、それでも改善しない時は別の手段で対策を行う、といったように、症状が悪化する前に問題解決を行いましょう。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
