アレルギー体質の人が避けたい室内素材とは?アレルギーが出にくい素材も解説

記事 オーガニックペイントサポーター 原野 光佳

監修 シックハウス診断士 加納亜由美

「アレルギー体質だからDIY塗装に抵抗がある」「アレルギー症状が出にくい室内空間にしたい」など、アレルギー対策を意識している方は多いと思います。

塗料の中には、においや化学物質を放散し、アレルギー症状を悪化させるものもあります。しかし、アレルギーが出にくい塗料もあるため、DIY塗装を諦める必要はありません。

知っておいていただきたいのは、アレルギーが出やすい素材出にくい素材があるということ。 室内のアレルギー対策というと塗料に目を向けがちですが、実は接着剤や家具、建材などさまざまなものが室内環境に影響しています。アレルギー体質の方が安心して過ごせる空間づくりをするには、アレルギーの原因を正しく知ることが大切です。

このコラムでは、アレルギー体質の人が避けたい室内素材、そしてアレルギーが出にくい素材と空間づくりのポイントを解説します。

アレルギー体質とは?

アレルギーとは、特定の物質に対して体の免疫が過剰に反応してしまう状態のことを指します。これは「免疫反応」とも呼ばれ、本来は体を守るための仕組みですが、皮膚のかゆみや発疹、くしゃみ、目の充血などさまざまな不調を引き起こします。
花粉や食品、化学物質などが要因となって発生しますが、要因となるもの(アレルゲン)には大きな個人差があります。

アレルギー体質とは、免疫反応を引き起こす「IgE抗体」をつくりやすい体質のことです。
遺伝的な要素が大きく、体質を変えることは難しいとされているため、日常生活の中でアレルゲンを避けることが重要です。

特に室内では塗料や接着剤、建材、家具などから発生する化学物質が影響することもあるので、使用する素材選びがアレルギー予防につながると考えられています。

アレルギー体質の人が気を付けたいのは「揮発する物質」

アレルゲンというと、手で触れたり目に見えたりするものを想像する方が多いのではないでしょうか。室内で使う素材選びの際は、こうした物に捉えられがちですが、実は別のところにアレルギーの原因が隠れています。

アレルギーの原因になる揮発性有機化合物(VOC)とは?

アレルギー体質の人が気を付けたいのは「空気中に揮発する物質」を発生させる素材です。この物質は、専門的な言い方では「揮発性有機化合物(VOC)」と呼ばれています。

VOCは、大気中で気体状になる物質で、塗料やシンナー(溶剤)、燃料、印刷インキ、接着剤などに含まれています。
世界保健機関(WHO)では、50〜260℃までの有機化合物と分類されており、具体例としてトルエンやキシレン、エチルベンゼン、スチレンなどの物質が挙げられます。

VOCは、吸い込むことで目や喉への刺激、頭痛、吐き気などの不調を引き起こすことがあり、体質によってはアレルギー症状の悪化につながる可能性があります。

アレルギー体質の人が避けるべきなのは、素材そのものというよりも、そこから発生する「揮発性有機化合物」です。極力発生させない素材を選ぶ、ということを意識しましょう。

 

VOCよりも揮発しやすいホルムアルデヒドにも注意

VOCと並んで問題視されているのが、ホルムアルデヒドです。
ホルムアルデヒドは広義ではVOCに含まれますが、沸点の違いからJISでは他のVOCと区別されています。ホルムアルデヒドの沸点は-20℃と低く揮発しやすい特徴から、「高揮発性有機化合物(VVOC)」と呼ばれています。

ホルムアルデヒドは、吸入したり接触したりすると有毒性があり、アレルギーや喘息を起こす恐れがあるとして、建築基準法や家庭用品規制法など複数の法律で規制されています。
アレルギー体質の方は、揮発性有機化合物やホルムアルデヒド以外にも、揮発性が低いものの長く残る半揮発性有機化合物(SVOC)や埃、カビなどの微粒子にも気を付ける必要があります。

 

アレルギー体質の人が避けたい室内素材の具体例

室内環境の影響でアレルギー症状が出る主な原因は、VOCです。VOCは主に塗料に含まれるものですが、VOC発生源は塗料だけではない点には注意しなければなりません。 また、VOC以外にもアレルギーが出やすい物質は存在するため、建材や家具を選ぶ際に知っておくと安心です。

ここでは、アレルギー体質の人が避けたい室内素材の具体例をご紹介していきます。

油性塗料

油性塗料は有機溶剤(シンナー)を使用するため、VOCやホルムアルデヒドの含有量が多く、アレルギーの原因になりやすいです。油性塗料は耐久性や密着性に優れている一方、特有の強い臭気があるので、においに敏感な方だと「気分が悪い」「ふらつく」などの中毒症状が出ることもあります。

VOCやホルムアルデヒドは水性塗料にも含まれることがあるため、成分表示を確認することが重要です。ホルムアルデヒドは放射等級を確認し、放射量の少ない製品(F☆☆☆☆:フォースター)を選ぶようにしましょう。

溶剤系接着剤

溶剤系接着剤とは、 トルエンやキシレンなどを溶剤として用いた有機溶剤タイプの接着剤です。成分のおよそ50〜70%が溶剤で、VOCに該当する化学物質が多量に含まれています。

また、樹脂の原料にホルムアルデヒドを使用するホルムアルデヒド系接着剤というものもあります。人体や環境への影響を考慮し、現在ではあまり使用されていません。また、溶剤系ほどではありませんが、水性接着剤にもVOCが含まれることもあるため、成分表示の確認は必要です。

接着剤は、木材をはじめとした建材の裏側に広く使用されるため、新築やリフォームの際にはどのような接着剤が使われているか確認することが大切です。

合板・ベニヤ板・パーティクルボード・MDF

合板・ベニヤ板・パーティクルボード・MDFなどの木材は、壁や天井などの内装仕上げに使用されたり家具の材料になったりします。これら木材は木を貼り合わせて作られており、製造過程で接着剤が使用されるため、アレルギー体質の方は注意が必要です。

その他、塗装や防腐処理など表面加工で使用される成分も室内環境に影響を及ぼします。

また、個人差がありますが、木材そのものにアレルギー反応が出るケースもあるため、心配な方はサンプルなどで体調の変化などを確認して選ぶようにしましょう。

合成皮革・クロムなめし革

合成皮革は、基材に特殊不織布以外をもちいた革のことで、表面にポリウレタン樹脂を塗布してコーティングされた素材です。製造過程で、溶剤としてDMF(ジメチルホルムアミド)が用いられることから、VOCの発生が懸念される場合があります。

合成皮革は、家具や内装材、衣類、スポーツ用品など幅広い用途で使用されており、国内のVOC排出量増加の大きな要因となっているというデータもあります。

一般的な革製品に使用されているクロムなめし革など、クロム塩でなめしているものは体質によって刺激を感じることがあるため注意が必要です。

塩化ビニル素材

一般的な室内のビニールクロス(壁紙)に使用されている塩化ビニル素材は、可塑剤や接着剤由来の成分が揮発することで、においやVOC発生の要因になることがあります。

室内では、クッションフロアやビニール床材、合成皮革、テーブルの化粧シート、テーブルクロスなどさまざまな用途で使用される傾向にあります。身近な素材だからこそ、アレルギー体質の人は使用範囲や量を考慮することが大切です。

アレルギーが出にくい素材と空間づくりのポイント

アレルギー体質の人が快適に過ごせる室内空間にするには、VOCや化学物質の少ない素材を選ぶのがポイントになります。
ここでは、アレルギーが出にくい素材と日常生活での取り入れ方など、安心して過ごせる空間づくりの一例をご紹介します。

化学物質を極力含まない塗料・接着剤

塗料や接着剤は、室内の空気環境に大きく影響します。
シンナー(溶剤)を含む油性塗料の使用を控え、低VOCの水性塗料や自然系塗料、ノンホルムアルデヒド接着剤などを選ぶと、においや化学物質の影響を受けにくくなります。

「VOCや有害物質をできる限り避けたい」というのであれば、ゼロVOCや化学物質ゼロのオーガニックペイントを選ぶと安心です。また、既存の壁紙や建材、塗装からのVOCや化学物質の放散が気になる場合は、換気や空気清浄機で室内の空気環境を整えるとともに、有害物質の封止効果がある塗料での上塗りも有効です。

木部の接着に関しては、自然素材100%の安全な接着剤として、膠(にかわ)を原料とした背着剤も選択肢の一つに挙がります。

 

無垢材や漆喰、珪藻土などの自然素材

接着剤や可塑剤の影響を受けやすい素材を避け、無垢材や漆喰、珪藻土などの自然素材を取り入れるのがおすすめです。

「無垢材=ホルムアルデヒドがゼロ」とは限りませんが、その量はごくわずかとされています。ただし、ホルムアルデヒドの発生量は樹種や使用環境によっても異なるため、建材や家具の最終決定の前には必ずサンプル等を確認することが大切です。

また、漆喰や珪藻土などは、素材自体からのホルムアルデヒドの放出がほとんどなく、ホルムアルデヒドを吸着・分解する作用が確認されているものもあります。
アレルギー体質で悩む方は、こうした自然素材を中心とした空間づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

布・革・紙も「自然由来素材」で空間を整える

カーテンやソファ、寝具、衣類など直接肌に触れる素材にも配慮が必要です。ポリエステルなどの化学繊維や合成皮革に比べて、コットン・リネンなどの天然繊維や天然革、和紙などの自然由来素材は比較的低刺激なので、アレルギー体質の人にもやさしいのが特徴です。

無溶剤(DMFフリー)ながら従来製品と同等の品質の水性ウレタン樹脂を使用した合成皮革・人工皮革が開発されるなど、環境や人体に配慮した素材も進化を遂げています。

和紙などの紙クロスは静電気が発生しにくいため、アレルギーの原因となる埃やハウスダストが吸着しにくいメリットをもちます。

自然由来素材で統一することで、アレルギー体質でも安心して過ごせる空間に近づきます。

 

 

まとめ|アレルギー体質の人は空気環境を考えた素材選びを!

今回解説したように、空気中に揮発する成分がアレルギーの原因になることがあるため、アレルギー体質の人は空気環境を考えた素材選びを行うことが重要です。

低VOC・ゼロVOCの塗料や自然素材を積極的に取り入れ、室内の有害物質を抑えることで、快適な空間づくりを実現しましょう!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

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