「ペットに優しい家」を考える時、動物に悪影響を及ぼす物質を知っておくと、新築時はもちろん、リフォームやちょっとしたDIYを行う際も不安なく素材選びができます。
このコラムでは、ペットにとって安全な家にするために、動物に悪影響な物質やペットがいる家でも安心して使える素材を紹介していきます。
目次
ペットに配慮した住まい(ペットに安全な家)とは?

室内の空気環境が良好な家
ライフスタイルにもよりますが、ペットが家で過ごす時間は人よりも長いため、室内の空気環境が特に重要になります。室内の空気環境が悪いと、アレルギー症状をはじめ、シックハウス症候群や呼吸器症状などの原因になりかねません。
空気環境悪化の一因である「VOC(揮発性有機化合物)」を極力減らす取り組みは必須といえます。VOCは主に建材や壁紙の接着剤、塗料に含まれており、常温でも気化しやすいのが特徴的です。
空気より軽いものもあれば重いものもあり、例えばトルエンやキシレンなどは空気よりも重く、放散されると床面に溜まると考えられています。
犬や猫などのペットは床に近い位置で生活するため、VOCの影響を受けやすいです。そのため、ペットへの安全性を考えると、VOCに関しては特に注意が必要になります。
また、動物は人以上ににおいに敏感なので、嗅覚から受けるストレスにも配慮してあげましょう。
ペットが快適に過ごせる室温
室内の空気環境以外の視点では、「室温」も重要なポイントです。日本は高温多湿な気候で、夏は暑く冬は寒い状態になりやすいため、ペットの健康面に影響を及ぼすことがあります。人と動物では快適な温度が違うことも珍しくありません。
例えば、犬の快適温度は人よりも低いため、常に居る場所は温度が高くなりすぎないよう気を付ける必要があります。
室温が高くなると、建材や塗料などからVOCが放散されやすくなることも知られています。ペットが快適に過ごせる室温を維持するとともに、換気をしっかりと行い空気環境を改善することも、ペットに配慮した住まいづくりにつながります。
ペット(動物)に悪影響な物質とは?健康被害はある?

ペットに配慮した住まいづくりを行うためにも、ペット(動物)に有害な物質を知っておくと安心です。
VOC(揮発性有機化合物)
VOC(揮発性有機化合物)は、アレルギー症状や化学物質過敏症、シックハウス症候群の原因となる物質です。約200種類と非常に数が多いのですが、厚生労働省では主要なVOC13物質について、室内濃度指針値のガイドラインを設けています。VOCは、建材や塗料だけでなく日用品や家具に含まれることもあるため、ペットにとっても身近な物質です。それぞれの物質の特徴や、健康への影響を把握しておきましょう。
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ホルムアルデヒド |
揮発性が非常に高い。刺激臭があり、目や鼻、呼吸器を刺激する。 |
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トルエン |
シンナーなどの塗料溶剤に含まれる。ツンとしたにおいで、皮膚や粘膜への刺激が強い。長時間吸うと頭痛や嘔吐、疲労感が起きる。 |
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キシレン |
トルエンとの共通点が多く、吸入すると疲労感やのぼせ、めまいなどの症状が起きやすい。 |
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パラジクロロベンゼン |
トイレの防臭剤や衣類用防虫剤などに用いられる。刺激臭があり、頭痛や目の痛み、吐き気、食欲低下などの原因になる。 |
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エチルベンゼン |
塗料溶剤などに含まれる。目や粘膜の痛み、皮膚炎、意識低下、眠気などを起こすことがある。 |
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スチレン |
発泡スチロールの主原料。目や喉、気道への刺激があり、皮膚炎の原因にもなる。 |
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クロルピリホス |
防蟻剤や農薬に含まれ、毒性が強い。現在は使用が禁止されている。 |
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フタル酸ジ-n-ブチル |
塩化ビニールの可塑剤などに用いられる。喉や気管支、皮膚刺激などが生じることがある。 |
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テトラデカン |
塗料などの溶剤や灯油に使用され、石油系のにおい。皮膚刺激が強いとされる。 |
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フタル酸ジ-2-エチルへキシル |
プラスチック可塑剤などに用いられる。目や粘膜を刺激し、口に入ると胃腸障害や下痢を起こす。 |
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ダイアジノン |
殺虫剤の成分。吸い過ぎると赤血球および脳AChEの活性を阻害する。 |
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アセトアルデヒド |
ホルムアルデヒドとの共通点が多く、目や鼻、喉の粘膜、皮膚への刺激がある。 |
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フェノブカルブ |
殺虫剤や防蟻剤に用いられる。倦怠感や頭痛、めまい、吐き気、腹痛などの健康障害が確認されている。 |
しかし、これらの物質は、ペットにとって想像以上のストレスになる可能性もあります。
VOCは化学薬品や煙草の煙に多く含まれるため、ペットの近くで使用しないことが重要です。
カビやダニなどの微生物由来物質
シックハウス症候群のほか、アレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎の原因にもなるのがカビやダニなどの微生物由来物質です。生きたダニだけでなく、フンや死骸などもアレルゲンとなり、埃や塵などのハウスダウトと一緒に吸入することで、ペットに影響を与えることがあります。
また、カビは空気中の胞子やカビが生成する「カビ毒(マイコトキシン)」と呼ばれる化学物質などもアレルギー症状や呼吸器への影響が懸念されます。特に、鳥類や小動物は呼吸器が敏感なのでこれらの物質にはより配慮が必要です。
カビやダニなどは高温多湿の環境を好み、湿度が70%になると繁殖しやすいと言われるため、除湿する・こまめに掃除するなどの対策をとりましょう。
重金属
古い塗料や顔料、金属製品、玩具などに含まれる可能性があるのが重金属です。鉛やクロムなどの重金属は、主に防錆や着色を目的に用いられてきましたが、健康被害を引き起こすことから、現在は用途に応じて使用が制限されています。家庭用塗料には鉛やクロムなどの有害重金属類は使用されないのが一般的です。
ただし、古い家屋などでは重金属を含む塗料が使われている場合があります。万が一剥離した塗膜や粉じんをペットが誤って舐めたり食べたりすると、中毒の原因になるため注意が必要です。
精油や植物油

犬や猫などは人間と嗅覚や代謝能力が異なるため、一部の精油成分が負担になる可能性があります。 特に猫は解毒にかかわる酵素を一部合成できず、中毒を起こすことがある点に注意が必要です。
また、天然系塗料の中には、柑橘系オイルや植物油などが使用されているものもあります。天然由来であっても香り成分が揮発するため、使用時は成分表示やメーカーの注意事項を確認するようにしましょう。
動物に優しい素材を選んで、ペットに安全な家を目指そう!

空気環境を良好に保つためには、日頃の清掃や室温管理、換気なども意識したいところ。その上で、動物に優しい素材を選択していきましょう。
水性塗料(低VOC・オーガニックペイント)
新築時の塗装やリフォーム時の塗り直しなどで塗料を使用する場合は、VOCやにおいが少ない塗料を選ぶのがおすすめです。VOCは、主に塗料のシンナー(有機溶剤)に含まれており、乾燥の過程で揮発することでアレルギー症状やシックハウス症候群の原因になります。
ペットの安全性を考えた時、油性塗料は希釈剤が有機溶剤のみで構成されるため、VOC量が多くにおいも強いのが問題点となります。 一方、水性塗料は希釈剤の代わりに一部もしくは大半に水が使用されるため、VOCやにおいが少ないのが特徴です。
化学物質・VOC封止材料
塗料や下地剤の中には、既存の壁や床の表面に特殊な塗膜を形成し、建材内部から化学物質やVOCが放散されるのを封止するものもあります。こうした塗料が作る塗膜は、ホルムアルデヒドなどのVOCの分子構造よりも細かいため、VOCが通過できない性質を持ちます。
塗料のほかには、仕上げ材の下にアルミシートを隙間なく仕込むことで化学物質を封じ込める工法が効果的です。
無垢材

一般的なフローリングに比べ、無垢材は木の柔らかさがあり、犬や猫の手足への負担が軽減できます。板厚や塗膜が厚いほど吸湿性が高まるという研究結果もあります。
また、無垢材には調湿性があることで知られており、室内の湿度を保持する役割があります。湿気によるカビやダニの発生を抑え、ペットに優しい家づくりに役立つでしょう。
ただし、表面に塗装する塗料や接着剤などでもVOC放散量やペットへの影響は変わります。ペットに優しい家を目指すなら、水性接着剤や無溶剤系接着剤を使用する、あるいは無垢材の床に低VOC塗料やオーガニックペイントを塗装するなど、素材全体で安全性を考えましょう。
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一般的な合板フローリングに比べると少量ですが、無垢材からも天然由来のVOCが放散されることがあります。無垢材が放散するのは、主にテルペン類などの香り成分です。木の独特な香りを生み出す成分で、すべてが有害ではありません。施工後は十分な換気を行い、室内のVOC濃度を下げることが重要です。 |
まとめ|ペットに安全な家づくりは素材選びから始まります

家を建築する時はもちろん、リフォームやDIY、新しい家具を導入する際も、ペットに悪影響を与える物質を避け、水性塗料や低VOC塗料、無垢材などペットに優しい素材を選ぶようにしましょう。
「飼い主がペットの気持ちになって考えてみる」というのはなかなか難しいことかもしれません。ペットの種類や体質、健康状態によって適した素材が異なるため、必要に応じて獣医師への相談も検討すると良いです。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
