黒板塗装をイベントや展示会で使用!|短期運用ならではのポイントとは

記事 オーガニックペイントサポーター 原野 光佳

監修 シックハウス診断士 加納亜由美

ここ数年、手書き黒板の需要が高まっており、家庭はもちろん、店舗やオフィスなどでも幅広く使用されるようになりました。
イベントや展示会でも、来場者の目を惹く演出の一環として、黒板メニューや黒板アートが採用されるケースが増えています。

会場に黒板を取り入れる方法の一つが、壁やパネルに黒板塗料を塗装する「黒板塗装」です。
イベントや展示会で黒板塗装を検討している方の中には、「においは大丈夫?」「すぐ使える?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、黒板塗装をイベントや展示会で使用する際に押さえておきたい、短期運用ならではのポイントを解説します。

イベントや展示会で黒板塗装が使われる理由

塗ったところを黒板として使える「黒板塗装」は、部屋一面に施工することもできますし、壁の一部分あるいは特定の建具のみに取り入れることもできます。
製品にもよりますが、比較的マットな質感に仕上がるので、落ち着いた空間を演出するのにも一役買ってくれます。

黒板塗装の魅力は、なんといっても「手書き」で自由に文字やイラストが書けることです。
手書きの文字やイラストには温かみや書き手の個性が表れるため、「親しみやすさ」「柔らかさ」などの印象付けもできます。
主催者だけでなく、参加者が実際に触れて体験しやすいところも、イベントや展示会で黒板塗装が採用される理由の一つです。実際に、黒板塗装を用いたワークショップなども開催されています。

黒板塗装は、子どもから大人までが楽しめるだけでなく、店舗経営者やクリエイターにビジネスや表現活動の「気づき」を与えるきっかけにもなります。

短期運用で注意すべき5つのポイント

黒板塗装は、住宅や店舗の塗装など長期使用でも使われています。実際に外壁塗装や内装などで黒板塗装を採用した経験があるという方もいるかもしれません。
しかし、黒板塗装をイベントや展示会などの短期運用で使用する場合、長期使用とは異なる視点で塗料を選ぶ必要があります。

注意すべきポイントは次の5つ。

・におい(トラブルにならないか?)
・乾燥時間(すぐ使えるか?)
・下地との相性(剥がれ、ムラにならないか?)
・安全性(引火性は?)
・後処理の容易さ(すぐ撤去できるか?)
以下で詳しく解説していきます。

低臭タイプの塗料を選ぶ|においトラブル防止

室内塗装ではにおいがこもりやすく、シンナー臭の強い塗料を選ぶと、トラブルの原因になります。住宅の塗装作業では、塗料のにおいによる体調不良がクレームにつながった事例は少なくありません。

イベントや展示会のように多くの人が集まる場では、体質や感じ方に個人差があるため、特に注意が必要です。ペンキのにおいがあまり気にならない人もいれば、わずかなにおいでも気分を害する人もいます。
場合によっては、主催者への印象を悪くする可能性もあるため、「少しのにおいなら大丈夫」と軽視しないことが重要です。

においトラブルを防止するには、「低臭タイプ」の黒板塗料を選ぶことが有効です。
主な判断基準は、VOCやホルムアルデヒドの含有量です。「低VOC」「ゼロVOC」と記載されているものや、「F☆☆☆☆(フォースター)」等級の製品を選ぶのがポイント。「F☆」はホルムアルデヒドの発散量を示した等級で、「F☆☆☆☆(フォースター)」は発散量がもっとも少ない製品に付けられます。

「低臭タイプ」や「低VOC」「ゼロVOC」の塗料は、水性塗料がほとんどです。

乾燥時間|最短当日~翌日に使える?

イベントや展示会の黒板塗装には、速乾性(いかに早く乾くか)が求められることがあります。というのも、設営が当日に行われるケースが多いからです。

結論からいうと、短期運用の場合は水性塗料の方が有利です。

塗料には油性塗料と水性塗料があり、ネットでは「油性塗料の方が早く乾く」「水性塗料の方が早く乾く」と両方の結論が混在しているため、「結局どっちが早く乾くの?」と悩む方は多いはずです。
2つの結論が混在するのは、乾燥の仕組みと状態に違いがあるのが原因と考えられます。

水性塗料は水分が蒸発することで乾燥し、表面乾燥(触れる程度の乾燥)が早いのが特徴的です。特に夏場など高温下では30分〜1時間程度で表面乾燥します。冬場でも通常1〜2時間で触れるようになるため、最短当日〜翌日に使用可能です。

一方、油性塗料は溶剤の蒸発と「酸化重合」という化学反応を経て乾燥します。硬化すると塗膜が強くなる分、表面乾燥にかかる時間が長い傾向にあります。高温下では1〜2時間で表面乾燥しますが、低温・多湿などの環境では6時間以上かかることがあります。

また、塗料の種類やメーカー、製品の違い以外に、以下の要因が乾燥時間に影響することがあります。

・気温

・湿度

・換気

・塗装の厚み

・下地(吸い込み度合い)

黒板塗料ごとの仕様書を確認すると、正確な乾燥時間が分かります。 塗料を早く乾かす方法については、別の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

下地との相性|用途を確認してムラを防ぐ

塗料は種類によって向いている下地とそうでない下地があります。(塗装における下地とは、ペンキを塗る素材のことです)。 一般的な黒板塗料をそのまま金属に塗ると、密着性が悪く剥がれやすいリスクが生じます。 また、木材やコンクリートなど吸い込みが大きい下地も、塗料との相性が仕上がりに影響しやすいので注意が必要です。 水性の黒板塗料の中には金属や木材、コンクリートへの塗装が可能なものもあるので、購入時に用途を確認しましょう。 下地と塗料の密着性を高め、ムラや剥がれを防ぐためには、下地処理が重要です。下地処理とは、塗装面の汚れを除去して整え、プライマーやシーラーで下塗りすることを指します。 下地処理を行うかどうかで黒板塗装の仕上がりや耐久性が大きく違ってくるため、必ず行うようにしましょう。対応素材の記載がない塗料でも、適切なプライマーやシーラーで下塗りをすれば塗装できる場合があります。

安全性|引火のリスクを減らす

イベントや展示会での黒板塗装では、安全性の高さが大前提となります。
臭いや人体への影響だけでなく、引火性についても考慮が必要です。

油性塗料はシンナーを使用するため引火性が高く、消防法上の「危険物」に該当します。
規定数量以上を使用・保管する場合、消防署への届出もしくは許可申請が必要です。

会場で火を使う場面がある場合は、油性塗料は引火リスクを伴います。短期運用では、完全乾燥の前に黒板塗装を使うケースが多いです。塗料そのものだけでなく、溶剤が揮発することでも引火の危険性があるため、乾燥途中は引火リスクが高く、密閉空間では特に注意が必要です。
「換気を徹底する」「火気に近づけない」「使用前に完全乾燥させる」などの対処をしなければなりません。

一方で、水性塗料は水を主成分とし、シンナーを使用しません。引火リスクが極めて低く危険物にも該当しませんが、乾燥途中は微量の化学物質が揮発する可能性があるため、換気を十分に行いましょう。

後処理の容易さ|塗料やゴミの処分に手間をかけない

短期運用の黒板塗装では、「すぐに使えること」と同時に「すぐに撤去できること」も重要なポイントになります。

水性塗料は水で固まりやすい性質があるため、塗料が付着した養生シートや布なども家庭ごみに出せます。有害物質ゼロの黒板塗料であれば、下水に流すことも可能です。(自治体によってルールが異なるため、事前に確認は必要です。)

しかし、油性塗料が付着した養生シートや布などは、そのまま家庭ごみとして出すと、発火の恐れがあります。処分する前に、乾燥させた上で、水で湿らせた状態でビニール袋などに入れる必要があるため、後処理が若干手間です。

原状回復・撤去のポイント|水性塗料の方が有利

イベントや展示会では、会場の原状回復が求められるケースがほとんどで、意図せず塗料が付着した場合でも元の状態に戻さなければなりません。(例:養生不足で壁や天井、床に付着した)また、資材を短時間で搬出しなければならないケースも少なくありません。

こうした後処理の容易さで比較すると、油性塗料よりも水性塗料の方が有利です。

なぜなら、油性塗料は完全乾燥すると硬い塗膜を形成し、剝がれにくい特徴があるからです。万が一壁や床などに油性塗料が付着した場合、水で拭いても落とせず、溶剤による除去が必要になります。除去することで、下地が傷む恐れもあります。
油性塗料の密着性の高さは長期使用では有利ですが、短期使用では不利に働く場合があります。 一方で、水性塗料も乾燥後は簡単には落とせません。しかし、乾燥前であれば水拭きで対処できるほか、乾燥後でも溶剤を使用せずに除去できる場合があります。
下地への影響が油性塗料に比べて少なく、トラブル時の対処がしやすいため、低リスクで運用できます。

さらに、水性塗料は塗装道具(刷毛やローラーなど)の洗浄や後処理が簡単なので、短時間で撤去・搬出しなければならない場でも作業をスムーズに進められます。

イベント・展示会での黒板塗装に向いている黒板塗料

イベント・展示会では、主催者も来場者も安心して過ごせる空間づくりが重要です。黒板塗装は室内の「空気」に大きく影響する要素なので、成分表示は必ず確認しておきましょう。

人体への影響や引火リスクを優先して考えた時、低臭・低VOC(ゼロVOC)の黒板塗料を選ぶと、トラブルや事故防止につながります。

オーガニックペイントは、人にも環境にもやさしく、短期運用に求められる条件を満たした塗料です。家庭やオフィス、イベント・展示会のほか、国内外のさまざまな建築物に使用されています。例えば、ルーブル美術館やロンドンオリンピック村、大英博物館にもオーガニックペイントが使用されています。

 

 

 

まとめ|イベント・展示会の黒板塗装は「安全性」「すぐ使える・すぐ撤去できる」が重要

イベントや展示会で使用する黒板塗装は「安全性の高さ」と「すぐ使える・すぐ撤去できること」が重要です。

安全性が低いと来場者の不安や不満につながる恐れがあり、乾燥が遅かったり後処理に手間がかかったりすると、スケジュール通りに進行できない場合があります。

どちらの要素も欠かせないため、両方を満たした塗料を選ぶことが大切です。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

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