「黒板塗料と黒板シートのどちらを選ぶべき?」
DIYで壁を黒板にしたい、インテリアに黒板を取り入れたいという方がまず迷う選択肢です。
多くの方は、黒板塗料は塗装が難しそう、黒板シートは貼るだけで簡単そう。といったイメージを持っていると思います。しかし、DIY初心者だから黒板塗料は向いていない、ということはありません。
実際には、黒板塗料と黒板シートには施工方法や耐久性、カラーバリエーション、仕上がり、用途など、さまざまな違いがあります。それらの違いを比較した上で、どちらを選ぶか決めるのがベストです。
このコラムでは、黒板塗料と黒板シートの違いを徹底比較していきます。どちらに向いているのか?の判断の参考にしてくださいね!
目次
黒板塗料と黒板シートの違いを簡単に比較

黒板塗料とは、塗装した面を黒板として使える塗料のことです。チョークボードペイントとも呼ばれ、チョークで文字や絵を描いたり消して書き直したりできます。
一方、黒板シートとは、裏面に粘着剤が付いたシールのようなシートです。表面にはすでに黒板加工がしてあり、貼るだけで黒板として使用できます。
「物の違い」から、それぞれ性質や特徴が異なります。比較表で以下にまとめてみます。
|
黒板塗料 |
黒板シート |
|
|
構造(原料) |
樹脂、顔料、溶剤、添加剤など |
樹脂フィルム、紙など |
|
施工方法 |
塗装する |
貼る |
|
施工難易度 |
やや高め |
簡単 |
|
デザインの自由度 |
高い |
低い |
|
耐久性 |
◎(長期可) |
△~〇(短期向け) |
|
耐水性 |
◎(水に濡れてもOK) |
△(粘着力に影響) |
|
カラーバリエーション |
多い(数百~数千色) |
少ない(2~3色) |
|
仕上がり |
凹凸・継ぎ目ができにくい |
凹凸・継ぎ目ができやすい |
|
用途 |
壁・家具・ガレージ塗装など幅広い(家庭~商用利用まで) |
壁の一部分、小さな掲示スペース、短期イベント用 |
|
賃貸物件での施工 |
基本的に× |
◎ |
一般的にも、手軽さを重視するなら黒板シート、本格的なDIYをするなら黒板塗料が向いているといわれています。
長所や短所の違いによりそれぞれ向き不向きが異なるため、以下で詳しく比較解説していきます。
黒板塗料と黒板シートの違いとは?10項目で徹底比較

構造
黒板塗料と黒板シートの決定的な違いが、構造(原料)です。一般的な塗料の構造は以下のようになっています。
・樹脂(塗装面への接着性を高める)
・顔料(着色する)
・添加剤(防汚や防カビなどの機能を付ける)
・溶剤(樹脂や顔料を溶かす)
黒板塗料においては、上記のほかにチョークの粉を埋めるための微細な粒子が含まれています。
乾燥すると塗装面に硬い塗膜ができるので、そこにチョークで文字を書く仕組みです。
水性の黒板塗料の場合、溶剤の代わりに水を使用します。
対して、黒板シートは主に3層構造になっています。
・塩化ビニル系樹脂(基材・表面)
・粘着剤(裏面)
・ラミネート紙(セパレーター・台紙)
黒板塗料は塗装後に黒板になる塗膜ができるもの、黒板シートは表面が黒板のようになっている粘着シートです。
施工方法
施工方法の違いは、黒板塗料が「塗る」のに対し、黒板シートは「貼る」という作業にあります。黒板塗料は、塗装の前に下地処理が必要です。
サンドペーパーで表面を荒した後、プライマーやシーラーで下塗りを行い、塗料の密着性を高めます。ローラーや刷毛などで塗料を塗っていき、必要に応じて2度塗りや3度塗りを行う手順が一般的です。
一方、黒板シートは、貼る位置を決めたら、施工箇所の清掃を行うだけで下準備が終わります。
はさみやカッターで好きな大きさに切り、裏面の離けい紙を台紙から少しずつ剥がしながら貼っていきます。
製品によっては、塗装面に接着剤を塗ってからシートを貼るものもあります。
施工難易度

その理由として、作業の中に下地処理が必要になり、下塗り技術が塗装の仕上がりに大きく影響することが挙げられます。
特に、狭い面積を施工する場合、黒板塗料よりも黒板シートの方が容易です。
ただし、黒板シートは必ずしも簡単に貼れるとは言い切れません。サイズや施工場所などの条件によっては、塗料よりも難易度が高い場合があります。
サイズの大きな黒板シートは空気が入りやすく、シワになったりズレたりしやすいです。場合によっては、2人以上での作業が必要になります。
また、黒板塗料は多少ムラになっても、2度塗りの際に修正する、あるいは乾燥後に塗り直しが可能です。一方、粘着式の黒板シートは、一旦貼ってしまうと修正が難しくなります。
施工時間を比較してみると、黒板塗料は半日〜丸1日、黒板シートは数十分~数時間です。
黒板塗料は、乾燥時間がさらに24時間程度必要なので、所要時間でいうと黒板シートの方が短いです。
デザインの自由度
デザインの自由度は黒板塗料の方が高いです。塗料は好きな範囲に自由な形状・配色でデザインできます。言ってしまえば、黒板塗料で黒板シートを作ることも可能なんです。黒板シートは製品サイズ・もともとの形状に強く依存するため、広い範囲や複雑な形状に施工するのが難しい場合があります。
例えば、「壁一面を継ぎ目なく仕上げたい」「曲面のある家具・小物を黒板にしたい」といった場合は、黒板塗料でないと対応できません。
耐久性

製品や使用環境(屋外か屋内か?など)によって異なりますが、一般的な黒板塗料の耐用年数は10年以上です。
屋外使用に対応した製品であれば、直射日光や気温の変化などの耐候性もある程度持っているため、頻繁なメンテナンスは必要としません。
対して、黒板シートの耐用年数は10年以下です。書き消しが多い使用条件などでは、5年以下で消耗する可能性があります。
また、黒板シートは基本的に屋内使用が想定されているため、屋外での使用には向いていません。
耐水性
「水性塗料は水で落ちる」と認識している方もいるかもしれません。実際には、水性塗料でも完全乾燥した後は水で落ちることはありません。油性塗料と同等の耐水性を持つ水性塗料も多く、塗料の種類に関係なく黒板塗料は耐水性があります。
黒板シートの基材の塩化ビニル系樹脂は高い耐水性を持つため、水で表面が剥がれ落ちるケースは少ないです。
しかし、粘着層に使用される接着剤には、水や湿気に弱い性質があります。水に濡れると接着力が弱くなり、剥がれやすくなる・端が浮いてくる・表面が波打つなどの問題が生じやすいです。
カラーバリエーション

黒板塗料のカラーバリエーションは非常に多く、標準色で10〜20色以上です。
塗料の特長に「調色できる」点が挙げられます。複数の塗料を混ぜ合わせて明度・彩度・色相を細かく調整すれば、数百から数千色ものカラーバリエーションに対応できます。イメージに近い色を作ることも可能です。
仕上がり
黒板塗料は壁や建具、家具などに直接塗るので、対象物と一体化した自然な仕上がりが特徴的です。黒板塗料は他の塗料に比べてマットな質感の物が多く、高級感を与えてくれます。
表面の滑らかさや凹凸の有無は塗り方次第ですが、下地処理を正しくおこなえば凹凸が残りにくいです。ただし、下地の影響や塗り方によってはムラになることがあります。
黒板塗料の最大の特徴が、「本物の黒板感」を出せること。鉄板や木板などを用いて、学校で使用されているような黒板を作成することもできますが、あえて手作り感を出すことも可能です。黒板特有のチョークの書き心地も再現できます。
黒板シートは、黒板面がすでに出来上がっているため、下地の影響を受けにくくムラになりにくいです。正しく施工すれば、表面が滑らかで均一になります。
その反面、対象物との一体化が難しく、シートの品質によってはチープな印象を与えるため注意が必要です。
用途
黒板塗料の用途は、壁・建具・家具・ガレージ塗装など幅広く、一般家庭だけでなく商用利用もできます。油性の黒板塗料は臭いやVOCが放出されるため、水性の黒板塗料を選ぶと安心です。安全性や耐久性の高い塗料であれば、教育施設や公共施設、屋外設備などにも使用可能です。実際に、オーガニックの黒板塗料はルーブル美術館や大英博物館などで使用されています。また、アート企画展の創作物として用いられることがあります。
黒板シートの用途は、主に壁の一部分や小さな掲示スペースなどです。
壁一面を黒板シートで施工することも可能ですが、継ぎ目が出やすいデメリットがあります。
貼って剥がせるタイプのものもあり、短期間の使用に向いています。
賃貸物件での施工

賃貸借契約では、部屋を借りている人が故意に設備を改変した場合、原状回復が求められる場合があります。これには、ペンキで壁や建具を塗装することも当てはまり、退去時に元の状態に戻さなければならないというものです。
オーナーや管理会社の許可が事前にあれば塗装が可能ですが、許可がない場合は施工できません。無許可で塗装した場合、クロスの張替えなどが必要になる可能性があります。
もし、賃貸でもDIY塗装したいのであれば、壁に剥がせる壁紙を貼り、その上から黒板塗料を塗る方法がおすすめです。
黒板シートは賃貸物件でも施工が可能です。しかし、中には強粘着タイプのものもあるため、剥がす時には壁紙の破損や接着剤の付着などに注意してください。
まとめ|黒板塗料と黒板シートの違いと選び方
黒板塗料と黒板シートは、どちらも黒板としてチョークで書いて消せるものです。しかし、構造が全く異なるため、施工方法や仕上がり、用途には違いがあります。
黒板塗料は壁や家具に直接塗る「塗料」で、自由度を優先する場合におすすめです。
用途は幅広く、家族で使う連絡ボードなど小規模なものから、店舗やオフィス、公共施設で使う大規模なものにまで対応できます。 範囲や形状などの制限なく施工できるのが最大のメリットです。
一方、黒板シートは貼るだけで黒板として使える手軽さが特徴的な「シート」です。
小規模なスペースに施工したい場合におすすめです。
広範囲への施工には向きませんが、原状回復がしやすいため、賃貸物件でも比較的使用しやすいメリットがあります。
黒板塗料と黒板シートには多くの違いがあります。施工場所や自分の目的に合った方法を選ぶことが大切です。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
