ペンキの乾燥を早めたい!速乾性塗料や一般的なペンキを早く乾かす方法について

記事 オーガニックペイントサポーター 原野 光佳

監修 シックハウス診断士 加納亜由美

「ペンキの塗装を今日中に終わらせたい」「早く乾かして次の工程に進みたい」
など、ペンキの乾燥を早めたい時があると思います。

ペンキを早く乾かしたい時は、乾燥時間が短い「速乾性塗料」や「水性塗料」を選ぶのがおすすめです。
ただし、ペンキの速乾にはデメリットや注意点があることも知っておきましょう。

このコラムでは、ペンキの乾燥を早めたい方に向けて、速乾性塗料の特徴や一般的なペンキの乾燥を早める方法を解説していきます。

早く乾くペンキ・速乾性塗料の特徴

速乾性塗料とは、一般的な塗料よりも早く乾く性質の塗料です。
乾燥時間が短くなるように設計されており、重ね塗りまでの時間が短縮できます。
どうしても早急にペンキの塗装を行わなければならない場合などの選択肢の一つです。

速乾性塗料の乾燥時間

速乾性塗料はスプレータイプのものが多く、水性塗料・ラッカー系塗料・油性塗料の3種類に分けられます。
それぞれ、水・ラッカーシンナー・有機溶剤と使用する溶剤が異なります。

水性塗料・ラッカー系塗料の乾燥時間の目安は、夏場(30℃)で約30分、冬場(10℃)で約50分〜1時間です。乾燥すれば重ね塗りも可能になります。

油性塗料は、夏場(30℃)で約1時間30分、冬場(10℃)で約3時間です。
上記の時間は指で触れる程度までの乾燥時間なので、重ね塗りまでには2〜4時間以上必要な場合があります。

油性塗料は、夏場(30℃)で約1時間30分、冬場(10℃)で約3時間です。
上記の時間は指で触れる程度までの乾燥時間なので、重ね塗りまでには2〜4時間以上必要な場合があります。

速乾性塗料は材質・用途が限定される

乾燥が早いのが速乾性塗料のメリットですが、使用できる材質が限られる点に注意が必要です。
鉄部や木部、コンクリートなど部分的な塗装に用いる製品が多く、壁の部分的な塗装や小物、家具の塗装などに向いています。

スプレータイプのペンキは、基本的には室内壁や天井、ドアなど広範囲の塗装が想定されていません。
少量ずつ吹き付けて塗装するため、作業効率が低く、時間がかかります。また、塗膜が厚くなりやすくペンキが垂れる原因にもなるので、壁一面を塗装する際にはあまり向いていません。

DIYで壁塗装などを行いたい方は、一般的なペンキで速乾性を持つものを選ぶ、あるいは乾燥を早める方法を取りましょう。

ペンキの速乾によるメリットは?

ペンキが早く乾くことで得られるメリットはとても多いです。
特に、DIY塗装では、ペンキの速乾性が作業効率の向上や仕上がりの美しさに影響します。
初心者の方がペンキを塗る場合、乾燥時間が短いほど作業しやすいといえます。

ペンキの速乾によるメリットを、乾燥時間が長いデメリットとあわせて解説します。

作業時間が短縮できる

ペンキが早く乾くことで、重ね塗りまでの待ち時間が減り、作業がスムーズに進められます。
当日中に塗装を終えたい場合、開始時間を考慮すれば十分可能です。

ペンキの乾きが遅いと、重ね塗りの回数が増えるごとに待ち時間も長くなり、その間どのように過ごすか考えなければなりません。開始時間が遅いと、当日中に塗装作業が終わらない場合があります。

埃やゴミの付着が防止できる

速乾性に優れたペンキは埃やゴミの付着が防止できるため、塗料の性能や美観を維持しやすいです。

塗装の環境によっては、ペンキを乾燥させている間に埃やゴミが付着しやすいことがあります。塗装用語では、埃やゴミなどの異物を「ぶつ」と呼びます。

塗膜内に埃やゴミが混入すると、その部分に凹凸ができ、塗膜表面の滑らかさが損なわれます。それだけでなく、塗膜の強度が低下する恐れがあり、耐衝撃性や耐候性、耐水性などの性能の低下にもつながります。

また、「ぶつ」は、仕上がりにも影響を与えるため、美観が低下する原因になります。

天候に左右されにくい

速乾性塗料は、天候に左右されにくいため、雨天時でも塗装できます。

一般的に、雨天時の塗装は推奨されていません。その理由は、湿度の高さからペンキの乾きが悪くなり、乾燥が不十分な状態で重ね塗りされる可能性があるからです。
外壁塗装などでは、業者が作業を中止するケースも珍しくありません。室内のDIY塗装も同じで、雨天時は乾燥が遅れやすいです。

どうしても雨天時に塗装しなければならない場合は、湿気に強く、速乾性のあるペンキを選ぶ必要があります。

ペンキの速乾によるデメリットは?

ペンキが早く乾くことには、デメリットもあります。速乾性塗料は乾燥時間が短い分、作業スピードも必要です。

ゆっくり時間をかけて塗装していると、塗装している途中で塗った箇所が乾き始めてしまいます。すると、ペンキを均一に塗り広げる前に固まってしまい、作業が追いついていかない、という事態になりやすいです。

乾燥時間が長いと、微修正であればすぐに対処できますが、速乾性塗料は失敗を修正する前に乾いてしまい、修正がしにくい点がデメリットになります。
すでに乾燥が始まった箇所を塗り直すと、刷毛目やローラー跡が残りやすいので注意しなければなりません。

レベリング(塗料を塗った後の平らで滑らかな塗膜が形成されること)については、乾燥時間が長い塗料の方が優れている傾向にあります。

一般的なペンキの乾燥時間はどれくらい?

一般的なペンキの乾燥時間がどれくらいなのか把握しておきましょう。
厳密な乾燥時間はメーカーや製品、あるいは塗装する場所の温度や湿度によって異なることも頭に置いておいてください。

水性ペンキの方が早く乾燥する

ペンキには水性ペンキと油性ペンキがありますが、一般的には油性ペンキより水性ペンキの方が乾燥時間が短いです。

水性ペンキの乾燥時間は、夏場なら30分〜1時間程度、冬場でも1時間〜2時間程度です。
一般的なペンキは速乾性塗料としては販売されていませんが、同等の速乾性を持つものもあり、作業効率は高い傾向にあります。

一方、油性ペンキの乾燥時間は、夏場なら1〜2時間、冬場の場合は3〜5時間程度かかります。

この時間はあくまでもカラッとした晴天時の目安なので、雨天や湿度の高い日は乾燥時間が長くなりやすいです。

室内塗装なら水性ペンキがおすすめ

水性ペンキは臭いがほとんど気にならず、VOCなど有害物質の量も少ないため、室内でのDIYに適しています。アレルギー体質の方や赤ちゃん、ペットなどがいる家庭では、VOC含め有害物質ゼロのオーガニックペイントを使うと安全性が高いです。

対して、油性ペンキはシンナー臭が強く、VOC放出量も多いため、家庭でのDIYには向いていません。ホルムアルデヒドなどのVOCはシックハウス症候群の原因になるため、油性ペンキを室内塗装で用いるリスクが大きいです。

速乾性に優れており安心して使用できる点からも、水性ペンキをおすすめします。

一般的なペンキの乾燥を早める方法

一般的なペンキの乾燥時間を短縮したい時、いくつかの方法で乾燥を早めることが可能です。どれも難しい条件はなく少しの工夫でできるものなので、ペンキに速乾性を与えたい方はお試しください。

温度と湿度を調整する

ペンキの乾燥時間は、塗装する場所の温度と湿度に左右されます。基本的には、気温が低く湿度が高いほど乾燥が遅くなります。

乾燥時間を短縮するには、気温と湿度の調整が有効です。
塗装に適した気温は5℃以上35℃以下とされており、特に20〜23℃の温度が望ましいといわれています。極端に気温の高い日・低い日を避け、必要に応じて冷暖房を利用しましょう。

湿度に関しては、80%以上の環境での塗装は推奨されていません。湿度80%以下、できれば65%前後を目安にすると良いです。

ペンキを薄く均一に塗る

ペンキを厚塗りしすぎると、表面は乾燥しても内部が乾燥していない状態になりやすいです。これを避けるために、ペンキは薄く均一に塗るようにしましょう。

ペンキをローラーや刷毛に含ませる時、塗料をまんべんなく含ませるのがポイントです。
どこか一ヶ所に塗料が偏っていると、塗るときに厚塗り部分と薄塗り部分ができてしまうので、ペンキをつけすぎないように注意しましょう。

風通しを良くする

湿度を適切に保つためにも、部屋の通気性を確保しましょう。
ペンキのにおい対策にもなるので、窓を対角線上に開放しておくのがおすすめです。

窓が1ヶ所しかない場合、ドアを開けて扇風機やサーキュレーターなどで空気の流れを作るようにします。風通しをよくすることは大切ですが、風が塗装面に直接当たらないようにしてください。

乾燥と硬化は異なる点に注意!

ペンキ塗装で失敗しないためには、重ね塗りまでの乾燥時間を守ることがポイントです。

ここで注意したいのが、指触乾燥(塗装面に触ってもペンキがつかない程度の乾燥)だけでは、重ね塗りには不十分ということ。一般的なペンキの場合、半硬化乾燥(塗装面に触っても跡がつかない程度の乾燥)したら重ね塗りできるようになります。

半硬化乾燥までにかかる時間は、ペンキの種類や塗装環境にもよりますが、数時間かかるものがほとんどです。オイルペイントなどは1日以上かかる場合があります。

水性のオーガニックペイントの場合、2度塗りまでの乾燥時間は約6時間です。
私自身が塗装した際、指触乾燥のみで2度塗りしてしまい、塗りムラができたことがあります。美しく仕上げるには、メーカーが推奨する乾燥時間をしっかり守ることが大切です。

一般的には、硬化乾燥(指で押しても指紋が付かない程度の乾燥)までに約1週間、完全乾燥(内部まで完全に乾いた状態)までに2週間〜1ヶ月かかるといわれています。
塗装した壁にポスターを貼ったり、時計を設置したりするのは1週間以上経ってからにしましょう。

まとめ|ペンキの速乾にはメリットもデメリットもあります

今回は、速乾性塗料の特徴や一般的なペンキの乾燥を早める方法を解説しました。

速乾性塗料として販売されているペンキは、用途や材質が限られていることが多く、広範囲の塗装に向かない性質があります。
そのため、「すぐ乾く塗料を塗りたい」という場合、乾燥時間が短い水性塗料を使用するのがおすすめです。

ペンキの速乾にはメリットもデメリットもあるため、双方を考慮した上で最適な方法を選びましょう。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

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