DIYで室内塗装をする時、まず悩むのが塗料の色選びではないでしょうか。
家具メーカーのインテリア事例や個人のSNSを見ても分かるように、壁や天井、床などの色は部屋の印象を大きく左右します。実際に塗装してみて、「あれ?思っていた色と違う…」という失敗を経験する方も少なくありません。
塗料の色の選び方で重要なのは、「色の見え方」です。「赤」「青」など、一つずつの色には色味の違いがありますが、色の見え方には色味以外の複数の要素が影響します。
このコラムでは、室内塗装の色の選び方と失敗しないためのポイントをご紹介します。色の見え方を理解し、イメージ通りの色を選びましょう!
目次
色の3属性は色相・明度・彩度の3つ
色の微妙な違いを決定するのが、色相・明度・彩度の3つの要素から成る色の3属性です。それぞれの要素を理解することは、イメージ通りの色を選ぶためのファーストステップといっても過言ではありません。
【色相】色の種類の違い

色相は大きく分けると「暖色系」と「寒色系」の2種類に分けられます。赤やオレンジ、黄など温かみのある色は暖色系、青や紫、青みのある緑など冷たく感じられる色は寒色系に分類されます。通常の緑や黄緑などは「中性色」にあたります。
色味を円環状に配置したものは「色相環」と呼ばれ、隣接する色を「類似色」、反対に位置する色を「補色(反対色)」といいます。
【明度】色の明るさ

明度が高い色は軽やかな印象、低い色は重厚感のある印象になります。また、明度が高い色は膨張して見える傾向にあり、低い色は引き締まった印象に見える傾向にあります。
明度は白に近いほど高く、黒に近いほど低くなるのが特徴的です。
この特徴は、色を混ぜ合わせる(調色する)時の基本にもなるので、知っておくと塗装時に役立ちます。
【彩度】色のあざやかさ

彩度の高い色は華やかな印象になり、低い色は落ち着いた印象になります。近年、人気が高まっている「くすみカラー」は、彩度が低くくすんだ色のことです。
わずかでも彩度がある色は「有彩色」と呼ばれ、白や黒、グレーの3色は彩度の概念がないため「無彩色」と呼ばれます。
色は「対比」による効果で見え方が異なる
「イメージ通りの色を選んだはずなのに、塗装後に印象が違って見える」 こんな経験はないでしょうか。これは、塗料の色が周囲の色に影響を受け、本来の色とは違って見える「対比」という現象によるものです。塗料の色選びで失敗しないためには、対比による効果も考慮しましょう。
【色相対比】隣接する色によって色味が違って見える

例えば、黄色の背景にエメラルドグリーンのような明るい緑色を重ねた場合と、少し暗めの緑色の背景に明るい緑色を重ねた場合とでは、色の印象が異なって見えます。
前者は緑色の鮮やかさが強く感じられますが、後者は色の違いが分かりにくくなります。
同系色で揃える=統一感が出ると思いがちですが、逆に塗料の色が際立たなくなることがある点に注意が必要です。
【明度対比】明るい色と暗い色の差が強調される

例えば、同じグレー(A色)でも、明るいグレーと暗いグレーの背景では、明るいグレーの背景の方がより暗く、暗いグレーの背景の方がより明るく見えます。
これを室内塗装に置き換えてみましょう。グレーの家具を明るく見せたい場合、壁の塗料は明度の低い色を選んだ方がいいということになります。
【彩度対比】隣接する色の影響であざやかさが違って見える

例えば、同じ茶色(B色)でも、背景の色の彩度が低い場合はあざやかさが強調され、逆に背景の色の彩度が高い場合はくすんだ印象になります。
具体的な色で一例を挙げると、黒に近い茶色の背景に茶色(B)を重ねた場合はあざやかに見え、赤みを帯びた茶色の背景に茶色(B)を重ねた場合はくすんで見えます。
室内塗装に置き換えて考えると、茶色の家具を引き立たせたい場合、壁の塗料は彩度が低い色を選ぶと家具の色がよりあざやかに見えやすいです。
色の見え方を考慮した塗料の色の選び方

部屋の主役を決めて色の対比を調整する
まずは、「対比」による色の見え方の違いを把握した上で、何を一番際立たせたいか、その部屋の主役となるものを決めましょう。例えば、家具を目立たせたい場合。・壁の明度を低めにし、家具より暗めの色を選ぶ
・壁の彩度を低めにする
こうすることで、家具が引き立ちやすくなります。
反対に、壁の明度や彩度を高くすると、壁がメインの空間になりやすいです。
また、空間全体の色相が同系色の場合、統一感が生まれて落ち着いた印象になります。 例えば、壁や巾木、建具をベージュにし、家具をブラウンにした場合、「一ヶ所が目立つ」現象が起きにくいです。
反対に、空間の中で色相差が大きい箇所があると、色の違いが強調されて目立ちやすいです。例えば、空間全体をブラウンで統一した場合、青などの寒色系が目立ちます。
巾木や建具との色のバランスを考える
日本では、床と壁の間に「巾木」がある部屋が一般的です。室内塗装では、意外にも巾木の色がポイントになります。巾木は決して面積が大きいわけではありませんが、部屋の印象を左右する重要な部材です。巾木は木材の色味を持ったブラウンやベージュであることが多く、アクセントとして目立ってしまうことがあります。特に、壁の色が寒色系だと巾木が浮いて見えるため注意が必要です。
壁と色を合わせる、もしくは同系色にすることで目立たなくなります。
もっとも合わせやすいのは、白の巾木です。白は壁の色の邪魔をしにくいため、欧米では白い巾木は珍しくありません。海外インテリアに近づけたい場合にはおすすめです。
もし、巾木をアクセントにしたいのであれば、色の対比を利用し、壁と巾木の明度差を大きくしましょう。
同系色でまとめつつ、明度差や彩度差で家具を引き立てているインテリア実例。
ベースを同系色でまとめ、一面の壁のみ強い色にする【アクセントウォール】を取り入れた実例です。
巾木の色を壁や床、建具に合わせて調和させると、自然で美しい仕上がりになります。
色の持つ効果も考慮する

一般的に、赤やオレンジ、黄などは神経を興奮させる作用があり、青や緑などは心を落ち着かせる作用があるとされています。
例えば、リビングを落ち着く空間にしたいなら、ベースに最適なのは青や緑です。
色は赤ちゃんの脳の発達にも影響を与えるといわれています。赤ちゃんがいる家庭で子ども部屋を塗装する場合、赤ちゃんに与える色の効果も考えましょう。
塗料の購入前に色見本を確認する

色見本は、単に色を選ぶためのものではなく、実際の空間での色の見え方を知るためのツールでもあります。
同じ色でも、塗る面積が大きくなると印象が異なる「面積効果」の影響で違って見えます。
面積効果とは、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見える現象です。
特に、明るい色やあざやかな色は、壁一面に塗ると想像より明るく派手に感じることがあるため、落ち着いた色を選ぶと失敗しづらいです。
ただし、暗い色やくすみカラーは、照明や光の入り方によって「明るく見える」「より暗く見える」など、見え方が異なります。
塗料の色選びで失敗を防ぐには、色見本を実際の塗装面に当てて確認することが大切です。
まとめ|室内塗装で失敗しない塗料の色の選び方
室内塗装では、「塗装した後に思った色と違う」という失敗が多いです。これを防ぐためにも、色の見え方が周囲の色や面積、光の影響を受けることを理解しておく必要があります。塗料を選ぶ際、色の好みや与える効果などを優先しがちですが、3属性の違いや対比の効果などで印象が大きく異なります。塗料を購入する前には必ず色見本を使い、塗装する空間で見え方を確認しましょう。
日当たりの良い部屋では、光の当たり方で色の見え方が違う場合があるため、時間帯による色の変化も見ておくとよいです。
もし、壁の塗装だけでイメージ通りにならない場合は、巾木や建具、家具などの塗装も検討してみましょう!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
