油性塗料の使用を検討する中で、デメリットが気になる方は多いと思います。
特に、油性塗料は水性塗料に比べてきつい臭いがあるため、「人体への影響はあるのか?」「発がん性はあるのか?」といった不安を抱えているのではないでしょうか。
最近はDIYで自宅の塗装や家具の製作を行う人が増えているので、赤ちゃんや小さいお子さん、ペットのいる家庭ではそうした不安は大きいことでしょう。
このコラムでは、油性塗料のデメリットとして、人体への影響や発がん性はあるのか?具体的な物質名を挙げながら解説します。
目次
油性塗料にはどんなデメリットがある?
油性塗料のデメリットとして一般的に知られているのは、以下の3つです。臭いが強い(シンナー臭がある)
引火性が高い
取り扱いや洗浄に手間がかかる
上記以外のデメリットとして、間接的に人体への影響や発がん性が生じる可能性があることも挙げられます。
油性塗料の直接的な人体への影響や発がん性に関しては、科学的な裏付けは確立されていません。リスクが指摘されているのは、油性塗料に含まれる化学物質です。
ですから、油性塗料の選び方や使用環境によっては、人体に影響を及ぼす可能性があります。油性塗料に含まれる有害物質や発がん性リスクが指摘される物質については、次の項で詳しく説明します。
油性塗料に含まれる有害物質や発がん性物質について

実際には、油性塗料自体に直接的な要因があるわけではなく、油性塗料に使用される有機溶剤に要因があります。
有機溶剤には有害物質や発がん性物質が含まれる可能性があるため、業務で取り扱う場合はもちろん、家庭で使用する際も十分注意が必要です。油性塗料とは、塗料を溶かすのに有機溶剤が用いられた塗料のことです。
塗料を水で溶かす水性塗料と比較されることが多く、一般的には油性塗料の方が耐候性が高いとされています。
また、密着性が高く仕上がりが美しいメリットがあるため、主に外壁塗装で使用されています。
油性塗料を塗ることで強靭な塗膜ができるので、建物を長期間保護できるのも特徴的です。
油性塗料の有機溶剤とは?
有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称です。油性塗料に含まれる顔料や樹脂を、溶かして塗りやすくするために用いられます。有機溶剤は常温では液体ですが、乾燥時に空気中に蒸発する「揮発性」のある物質です。塗装する人の呼吸を通じて、あるいは皮膚から体内に入る可能性があります。
業務で有機溶剤を使用する人の安全を守るため、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や労働安全衛生法などの法律で規制されています。 家庭で油性塗料や有機溶剤を使用する際は法律の規制対象外ですが、危険性や人体に有害性があることには変わりありません。
シックハウスの原因になるVOCを放出

VOCは、光化学スモッグの主たる原因物質で、シックハウス症候群の代表的な要因です。
シックハウス症候群とは、主にVOCなどの化学物質を放出する建材や内装材、塗料を使用することで室内空気汚染が進み、そこで生活する人に起きる体調不良の総称です。症状の一例に、目や鼻、喉、皮膚への刺激症状や吐き気、頭痛、めまいが挙げられます。
国内では、厚生労働省によりシックハウス症候群の原因と考えられる13物質が設定されました。
以下で、物質ごとの室内濃度指針値と、主な用途をご確認ください。
|
物質名 |
室内濃度指針値(μg/m3) |
主な用途 |
|
ホルムアルデヒド |
100 |
合板、塗料、接着剤 |
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トルエン |
260 |
接着剤、塗料 |
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キシレン |
200 |
接着剤、塗料 |
|
p-ジクロロベンゼン |
240 |
衣類用防虫剤 |
|
エチルベンゼン |
370 |
接着剤、塗料 |
|
スチレン |
220 |
断熱材、畳心材 |
|
クロルピリホス |
1(小児の場合は0.1) |
殺虫剤 |
|
フタル酸-n-ブチル |
17 |
塗料、顔料、接着剤、塩化ビニル(可塑剤) |
|
テトラデカン |
330 |
塗料、灯油 |
|
フタル酸-2-エチルへキシル |
100 |
塗料、顔料、接着剤、塩化ビニル(可塑剤) |
|
ダイアジノン |
0.29 |
殺虫剤 |
|
アセトアルデヒド |
48 |
殺虫剤、防腐剤 |
|
フェノブカルブ |
33 |
殺虫剤 |
また、これらの化学物質には、中枢神経や呼吸器、生殖機能、脳・肝臓・腎臓機能などに影響を与える可能性があると指摘されています。
VOCや化学物質を多く含み、シックハウス症候群の原因になりやすいことは、油性塗料の大きなデメリットです。
油性塗料に発がん性物質は含まれる?

ホルムアルデヒドやベンゼン、ブタジエン、エチルベンゼン、スチレンなどは、発がん性が確認されており、法律で規制されている特定化学物質です。
誤解しがちなのですが、すべてのVOCに発がん性があるわけではなく、毒性や有害性は物質ごとに異なります。
VOCの中でも、以下のように毒性が低く発がん性がないとされる物質もあります。
– エタノール – リモネン – 酢酸エチル – イソプロピルアルコール
また、VOC以外にも発がん性物質は存在するため、それらの化学物質が油性塗料に含まれている可能性がある点も注意が必要です。 例えば、トリクロロエチレンなどが挙げられます。
油性塗料以外だと、インク洗浄剤に用いられるジクロロプロパンに発がん性があるという報告もされています。
油性塗料のデメリットを回避する方法

水性塗料を使用する
従来、「油性塗料は水性塗料に比べて、耐久性が高く乾燥が早い」とされてきました。しかし、水性塗料が普及した現在では、必ずしも油性塗料の方が耐久性や速乾性に優れているとは限りません。
水性塗料は有機溶剤を使わずに水で希釈するため、気温の低い時期は乾燥に時間がかかる傾向があります。とはいえ、塗装後、十分に乾燥させて塗膜が硬化すれば、雨に濡れても流れ落ちる心配はありません。
水性塗料には有機溶剤のシンナー臭などがないため、家庭でのDIYにも使用しやすいです。
VOCなどの化学物質も少ないので、シックハウス症候群や発がん性のリスクの防止に繋がります。
オーガニックペイントを選ぶ

水性塗料だからといって、全ての塗料にVOCや化学物質が含まれないとは限らない点には注意が必要です。
例えば、自然塗料や無垢材、天然接着剤からもVOCや化学物質の発生が確認された事例があります。自然塗料をスプレータイプの油性塗料と比較した時、キシレンやエチルベンゼンの検出量は少ないものの、トリメチルベンゼン・ヘプタンの検出量が大きかった、という試験結果もでています。
低VOCの水性塗料は、あくまでも「VOCが少ない」というものであり、VOCが放出されないとは限りません。油性塗料のデメリットを回避するといった意味では、ゼロVOC塗料やオーガニックペイントがベストな選択肢といえます。
オーガニックペイントはVOCや有害物質を含まないため、シンナー臭や健康被害のリスクが極めて少ないです。赤ちゃんやペットのいる家で、室内壁の塗装や家具の塗装、おもちゃの塗装などに使用できます。
換気を行う・空気清浄機を使用する
油性塗料のデメリットを回避する簡単な方法の一つに、室内の空気を常に新鮮に保つことが挙げられます。新築の場合は、換気のしやすさも考慮して、窓の数や位置、換気設備の導入を検討しましょう。既存住宅では、以下の方法が有効です。
– 塗料を含め、化学物質を含むものを室内に持ち込まない
– 塗装中や塗装後は窓開け換気をこまめに行う
– 空気清浄機を使用する
– ベイクアウトを実施する(室温を上げて塗料などに含まれる化学物質を放散させる方法)
– 化学物質を吸着、中和する塗料を使用する
空気清浄機を選ぶ時は、VOCの除去機能を持った製品がおすすめです。
まとめ|油性塗料のデメリットを避けたい場合は水性塗料がおすすめです

水性塗料にも、油性塗料と同等の耐久性(耐候性・耐水性)をもつ塗料があります。
水性塗料も完全に乾けば水で落ちることはないため、今は内壁塗装はもちろん、外壁塗装や公共施設でも使用されているくらいです。
屋外ほど耐久性が求められない室内塗装に関しては、水性塗料にデメリットはほとんどありませんよ!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
