賃貸物件の壁というと、ホワイトやアイボリーなど白系統のクロス(壁紙)が貼られているのが一般的です。人によっては「無難でパッとしない」「平凡で面白みがない」と感じるかもしれませんね。しかし、賃貸では原状回復の問題などがあり、塗り替えができないと諦めている人も多いことでしょう。 実は、賃貸物件の壁は、ちょっとした工夫を凝らせばペンキで塗り替えが可能なんです。 また、賃貸を運営するオーナーさんの中には、退去後のペンキ塗り替えやリフォーム時の臭い・人体への影響に悩んでいる人は多いと思います。 この記事では、賃貸物件の壁をペンキで塗り替える方法や、退去後のリフォームで臭いや人体への影響なく塗装する方法を解説します。入居者とオーナー、2つの視点から、部屋の壁を安全かつおしゃれに塗り替える方法を提案するので、賃貸の壁をリフォームする際の参考にしてください。
目次
賃貸の壁紙を塗り替えるメリット
賃貸物件で壁紙を塗り替えることにどんなメリットがあるのでしょうか。
部屋の印象を変えられる

賃貸の壁紙を塗り替える大きなメリットとして、室内の印象を変えることができること、豊富なカラーバリエーションから選択できることが挙げられます。 白系統のクロスは清潔感のある印象を与えますが、その一方で汚れが目立ちやすい、単調になりやすいなどのデメリットがあります。統一感を出すには、白の壁紙に合ったインテリアを選ばなくてはならず、好きな色・お気に入りの家具でコーディネートできないといった不満が生まれがちです。 賃貸の壁紙を塗り替えることで、白の壁紙で生じるデメリットを解消し、部屋のコーディネートが自由にできるようになります。
既存の壁紙を剥がす必要がない

壁紙をペンキで塗り替えれば、既存の壁紙を剥がさずにリフォーム可能です。ペンキを上塗りしてリフォームする方法は「クロスメイク」と呼ばれており、賃貸における退去後の原状回復で近年多く用いられています。 クロスの張り替えには時間やコストが多くかかり、廃材の処分費も必要です。クロス張替えには、6畳の場合で半日程度、12畳の場合で1〜2日程度の時間がかかります。 一方、クロスメイクは短時間かつ低コストでリフォームできます。6畳であれば2〜3時間で施工することが可能です。廃材が出ないため処分費用の削減・環境保全にもメリットがあります。
賃貸物件における原状回復とは?
賃貸物件では、入居者に原状回復の義務があるため、管理者(オーナーさんや管理会社)に無断でクロスを張り替えたり塗り替えたりすることはできません。
原状回復とは、入居者が退去する際、入居時の状態に部屋を戻すことです。部屋を借りる際に交わす賃貸借契約に、入居者と管理者のどちらがどの範囲まで費用を負担するか記載されています。
入居時の状態といっても、日常生活で生じる汚れや経年による色褪せや摩耗などは入居者に責任が問われることはありません。しかし、故意または重大な過失でできた建具、設備の破損などには、原状回復の義務が生じます。例えば、
・長期間掃除を怠ったことによる酷い汚れ
・喫煙によるクロスの変色
・ペットのひっかき傷や臭い
といったものは、原状回復のために入居者が費用を負担するのが基本です。
クロスの張り替えや塗り替えをすると、故意に壁を変化させたとみなされ、原状回復の義務が生じます。
賃貸の壁をペンキで塗っても退去時にトラブルにならない方法

賃貸物件では、無断でクロスを塗り替えたのが原因で原状回復が困難となると、入居者が多額の費用を負担しなければならない可能性があります。そのため、賃貸に住んでいると、インテリアで妥協せざるを得ないことがあるでしょう。 しかし、賃貸の壁をペンキで塗る時に「ある方法」を使えば、退去時のトラブルを防ぐことができるんです。
壁に「剥がせる壁紙」を貼る!
その方法とは、既存のクロスに「剥がせる壁紙」を貼り、その上からペンキを塗るというもの。剥がせる壁紙には、白いものから木目調、おしゃれな模様が入ったものまでさまざまな種類があります。壁紙を貼っただけだと、平面的・機械的な印象になりがちなので、白い「ペンキ用下地壁紙」を貼り、ペンキを塗るのがおすすめです。 壁紙にペンキの質感が加わると、立体感や艶、温かみが出て部屋の印象がよくなります。 剥がせる壁紙には、水で貼るタイプ・シールで貼るタイプ・糊で貼るタイプの3種類があります。退去時に剥がすことを考慮すると、一般的なクロスには糊で貼るタイプが望ましいです。剥がした後に糊跡が残っても、水拭きでキレイに取り除けます。

剥がせる壁紙を貼るコツとペンキを塗る注意点
剥がせる壁紙を上手く貼るには、壁紙の糊を貼り付けやすくするために、既存のクロスを掃除しておくことが大切です。タオルなどで水拭きして埃・汚れを取り除いた後、乾拭きするだけでOK。水分が残っていると、拭き跡が残ってしまう恐れがあるため、きちんと乾拭きしましょう。 壁紙と壁紙の隙間からペンキが漏れるのを防ぐため、隙間なく貼ることが肝心。1㎝以上重ね貼りしておくと安心です。 ペンキを塗るときは、希釈率(水で薄める割合)を高くしすぎないように注意しましょう。 希釈率が高いほどペンキの粘度が低くなり、既存のクロスに染み込んでしまう恐れがあります。水性塗料の場合、希釈率は0%がベター。製品にもよりますが、高くても3%以下に抑えてください。
【オーナーさん必見】退去後のリフォームは無害なペンキでクロスメイクがおすすめ

「入居していた人の退去後に、リフォームするのが大変!」「壁紙を張り替える手間はなんとかならない?」とお悩みのオーナーさんは多いことでしょう。 賃貸物件の壁をペンキで塗り替える方法は、オーナーさんや管理会社の方も活用できます。「賃貸の壁を塗り替えるメリット」でもお伝えしたように、クロスメイクを行えば壁紙を張り替える必要はありません。
溶剤系塗料ではなく水性塗料を選ぼう
ペンキを塗るとなると、強い臭いや人体への影響が心配だと思います。従来、住宅の塗装で用いられてきた溶剤系塗料にはエチルベンゼンやキシレン、トルエンなど毒性のある化学物質が含まれています。これらは法令で規制対象になりましたが、規定量以下を含む溶剤系塗料は現在も用いられており、完全無害とは言い切れません。 それに対し、水性塗料はシンナーを含む溶剤を使用していないので、強い臭いや化学物質の影響を受ける心配がありません。そのため、賃貸物件のリフォームに使用するなら、水性塗料がおすすめです。 ただし、水性塗料に適した壁とそうでない壁があるため、既存のクロスの素材によっては塗り替えできない場合があります。 一般的なビニールクロスであれば問題なく水性塗料が使用できますが、撥水加工や防汚加工をしたクロスは塗料をはじくため使用が難しいでしょう。また、布製や紙製のクロスは水分を含んで変質してしまうため、水性塗料は使用できません。
有害物質ゼロのオーガニックペイントが安心

有害物質の影響を完全になくしたい場合は、オーガニックペイントと呼ばれる水性塗料をおすすめします。 エコスオーガニックエコピュアペイントは、塗料に有害な化学物質が含まれていないだけでなく、室内の有害物質を吸着することのできる塗料です。家具や芳香剤、調理器具など身近なものから発生する揮発性有機化合物(VOC)を吸着する独自技術「モレキュラーシーブ」が採用されています。 有害物質ゼロの塗料なので、万が一誤って口に入れても健康被害が起こるリスクがありません。一人暮らし向けのアパート・ワンルームマンションはもちろん、お子さま連れのファミリーを想定した物件でも安心して使用できます。
1ガロン(3.6L)サイズを選べば、4畳半〜6畳の一部屋の壁に塗れます。8色あるカラーは海外ペンキならではのおしゃれな色味で、部屋のイメージを180℃変えることも可能です。

エコピュアペイントは、シックハウスに悩むイギリス人化学者が開発した塗料で、フランス・ルーブル美術館やロンドン・大英博物館でも使用されているくらい、世界的に信頼されているものです。
オーガニックペイントを塗る際の注意点
壁に埃や汚れ、油分が付着していると、塗りムラができやすいです。 オーガニックペイントを塗る際は、事前に石鹸水や中性洗剤を用いて、既存の壁の汚れを落としておくことが大切。これにより、キレイに仕上がります。


汚れがひどい場合は、研磨剤不使用の弱アルカリ性洗剤を試してみましょう。 凹凸模様が入っているクロスに塗る場合、通常より多めの塗料(1.5〜2倍)が必要になることも頭に置いておきましょう。中毛や長毛など、ある程度毛の長さがあるローラーを使用すると塗装しやすいです。 物件の壁に塗れるか心配なオーナーさんは、10mlのサンプルを申し込み、目立たない部分で試してみるのがおすすめです。
喫煙可の賃貸では、煙草のヤニ汚れが気になる場合があると思います。煙草のヤニ汚れの上にペンキを塗ると、乾燥した後に汚れが浮き出てしまうことがあるため、忘れずに除去しましょう。汚れが目立つ場合は、下地塗装しておく必要があります。 石膏ボードやベニヤ板などにオーガニックペイントを塗る場合も、下地塗装の実施が推奨されています。仕上がりを良くするためには、希釈なしで2度塗りするのがベターです。 下地塗装にはオーガニックのエコピュアプライマーがおすすめです。建材からの有害物質、VOCを閉じ込める機能を持つため、エコピュアペイントとの併用で室内の有害物質を限りなく減らすことができます。
まとめ|賃貸の壁をオーガニックのペンキで塗り替えればおしゃれで安心な部屋に!
今回は、賃貸物件の壁をペンキで塗り替える方法を入居者とオーナーさんの2つの視点からご紹介しました。 入居者には原状回復の、オーナーさんには退去後のリフォームの不安がつきものです。どちらの不安もペンキを塗ることで解消できますが、オーガニックペイントを使用すれば健康被害の心配までなくなり、一石二鳥です。 海外のペンキはカラーも豊富で、部屋を理想通りにコーディネートするのに役立ちます。内装の印象が大きく変われば、入居率向上にもつながるでしょう。 オーガニックペイントを使用して、おしゃれで安心な部屋づくりを楽しんでくださいね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!