室内の壁をペンキで塗装したい、だけどペンキ臭いのは苦手…という方は多いです。
特に、油性塗料を使用した場合は強い刺激臭が発生することがあり、体調不良になるケースは少なくありません。
室内塗装にあたり、油性塗料の臭いがいつまで続くのか気になりますよね。
「シンナー臭い部屋で寝るのはちょっと…」という方も多いと思うので、臭いの持続時間は重要な問題です。
このコラムでは、油性塗料の臭いはいつまで続くのか、臭いの原因とともにわかりやすく解説します。室内がペンキ臭い時の対処法もご紹介するので、内壁塗装を行う際の参考にしてください。
目次
油性塗料の臭いはいつまで続く?ペンキ臭いのは何日間?
油性塗料で室内の壁を塗装した場合、臭いが続くのは塗装から3日程度といわれています。しかし、これはあくまでも一般的な目安であり、臭いがいつまで続くかは塗料の種類や塗装面積、塗装回数、塗装環境によって異なります。
場合によっては1週間程度、あるいはそれ以上続くことがあるため、ペンキの臭いが苦手な方や小さなお子さん、アレルギー体質の方、妊婦さんなどがいるご家庭では、塗装スケジュールを調整する、部屋を移動するなどの配慮が必要になります。
ペンキの臭いが続く理由や臭いが強い要因は?

油性塗料の臭いと塗装回数の関係
内壁塗装は通常、下塗り1回+上塗り1〜2回をしますが、きつい臭いが発生しやすいのは上塗り時です。下塗りには臭いの少ないプライマーを使うため、油性塗料のような強い刺激臭はありません。上塗りでは油性塗料を使用するため、乾燥時間も含めて臭いが続くと考えた方が良いでしょう。1回目の塗装後、3〜6時間程度乾燥させなければならないため、塗装回数が多ければ多いほど臭いも続きます。 塗装自体は1〜2日で終わることが大半ですが、塗装後もしばらくは臭いが続くと考えましょう。
油性塗料の溶剤と含まれるVOC
油性塗料の臭いが強くなる要因の一つが、溶剤の成分です。油性塗料には、希釈剤としてシンナーなどの溶剤が使用されており、強溶剤になると臭いがかなりきつくなります。弱溶剤の方がシンナーは弱めですが、それでも水性塗料に比べると臭いが気になりやすいです。
また、塗装面積が広くなるほど臭いの発生源も広がるため、臭いが続く傾向にあります。そして、大きな要因となるのが、気温や湿度などの塗装環境です。
例えば、気温の低い冬は、夏場よりも乾燥に時間がかかるため、臭う時間も長くなります。
油性塗料の臭いと関係が深いのがVOC(揮発性有機化合物)で、VOCは高温多湿の環境で空気中に蒸発する性質を持ちます。
気温・湿度の高い室内だと臭いも強くなりやすいため、梅雨などは油性塗料の塗装に向かないといえるでしょう。
油性塗料の臭いが続くと起こる問題とは?

油性塗料の臭いが続くと、さまざまな問題が生じることがあります。室内がペンキ臭いことで入室できないと不便を感じるでしょうし、それ以外の健康被害も気になるところです。
トラブルを防ぐためにも、油性塗料の臭いが続くと起こる問題について理解しておきましょう。
吐き気や頭痛などの体調不良
油性塗料はシンナーによる刺激臭が特徴的なため、臭いを嗅ぐだけで気分が悪くなる、吐き気や頭痛を起こすなど体調不良のリスクがあります。臭いの感じ方や症状には個人差がありますが、化学物質過敏症や嗅覚過敏の方、妊婦さんは特に影響を受けやすいです。
化学物質過敏症の方は、油性塗料に含まれるVOC(揮発性有機化合物)に反応し、吐き気や頭痛などを起こすケースがあります。
嗅覚過敏の方では、他の人よりも臭いに敏感なため、油性塗料のきつい臭いはいっそう気になる可能性が高いです。妊婦さんの場合、食品などでも匂いを嗅ぐと気分が悪くなる方が多く、油性塗料の刺激臭でも同様の症状が起こりえます。
嗅覚が不快に感じると、含有される成分との因果関係がなくとも心身の不調を引き起こすことがあるため注意が必要です。
溶剤の成分による健康被害
油性塗料に含まれる溶剤は、臭いによる体調不良のほか、重大な健康被害を及ぼす可能性があります。一例として、シンナーで希釈するタイプの防カビ用油性塗料での事故が厚生労働省から発表されています。公衆浴場の天井・壁面に塗装したところ、利用者が咽頭痛や頭痛、結膜充血などを発症したとのことです。
油性塗料で起きる健康被害の原因は、VOCです。VOCが揮発すると空気中に拡散し、呼吸によって体内に取り込まれます。
油性塗料には、ホルムアルデヒド・トルエン・キシレンなどのVOCが含まれることがあり、これらはシックハウス症候群の原因物質です。シックハウス症候群は、新築やリフォームした住宅内の空気汚染が原因で生じる体調不良の総称です。主な症状に、目の刺激やチカチカ感、鼻水、のどの痛み、呼吸器疾患などがあります。
このほか、エチルベンゼンやメチルソブチルケトン、イソシアネートなど、発がん性の疑いがある物質が含まれている可能性があります。油性塗料を選ぶ際は、臭いだけでなく含有成分にも注意を払うべきです。
室内がペンキ臭い時の対処法!そもそも臭いを発生させないためには?

油性塗料を用いる以上、シンナー臭やきつい臭いの発生は避けるのが難しいため、「ペンキ臭い」と思ったら何かしらの対処が必要です。
室内がペンキ臭い時の対処法、そもそも臭いを発生させないための対策をご紹介します。室内で塗装する場合、VOCや臭いを部屋にこもらせないために換気を徹底する必要があります。窓を開けた状態で作業し、常に換気を行うのが理想的ですが、難しい場合は1〜2時間に1回は窓を開けるようにしましょう。
油性塗料の臭い対策に効果的な換気方法をいくつか挙げてみます。
・部屋の向かい合う窓を開けて、空気が抜けるようにする
・1回の換気時間を30分以上にする
・花粉が気になる時期は換気時間を短縮して空気清浄機を併用する
・窓が一ヶ所しかない、空気の通り道がない場合は、サーキュレーターを置いて空気の流れを作る
・カーテンを開けて空気の流れを妨げない
・雨天時や窓がないなどの場合は、常時ドアを開けておく
このように、油性塗料の臭いに対処するには、窓を開けての換気が必須となります。
適度に休憩を取る
塗装作業を行う人は臭いによるストレスが溜まりやすいので、「気分が悪い」と思った時や作業がひと段落したタイミングでその場を離れ、休憩を取ったり軽い運動をしたりすると良いです。体調によって臭いの影響を受けやすくなることがあるため、食事や水分補給などの体調管理もしっかり行いましょう。衣類に付着したペンキが臭うこともあるので、気になる場合はその都度着替えることも大切です。
一時的に別の場所に避難する
油性塗料の臭いがいつまでも続く場合や、ペンキ臭い部屋で寝られないといった場合は、一時的に別の場所に避難することも検討します。特に、妊婦さんや赤ちゃん、アレルギー体質の方は臭いの影響を受けやすいため、塗装した部屋とは別の場所で過ごす、就寝するなどの考慮が必要です。
住宅全体を塗装した場合は、実家や親戚の家、ホテルなどへの避難も検討しましょう。
塗料専用の消臭剤・重曹・活性炭を使う

塗料のシンナー臭が気になる場合におすすめなのが、VOC専用の消臭剤です。スプレータイプの消臭剤なら、壁や天井などに吹きかけるだけで臭い対策ができます。
シンナー以外にも、ホルムアルデヒドなどVOC起因の臭いに働きかける製品もあるので、塗装前に準備しておくと安心です。
そのほか、市販で入手できるものの中にも、油性塗料の消臭に役立つものがあります。
・重曹
・活性炭
・酢
・コーヒーの出がらし(コーヒーかす)
これらは、臭いを吸着する作用があるため、部屋の隅に置いておくと消臭効果が期待できます。特に活性炭は有害成分を吸着する作用を持つため、積極的に使用しましょう。
業務レベルの臭い対策を行いたいのであれば、活性炭入りの防毒マスクや空気清浄機などが役立ちます。
水性塗料を使用する
油性塗料の臭いがいつまで続くか不安な方は、油性塗料ではなく水性塗料を使用するのがおすすめです。
油性塗料の臭いは、長いと数週間続くことがあるため、居住空間で使用するのは現実的でない場合もあるでしょう。
水性塗料の臭いは、数日間で取れるのが一般的なので、ペンキの臭いが苦手な方や妊婦さん、赤ちゃんなどのいるご家庭でも安心して使用できます。
油性塗料に比べて水性塗料の臭いが少ない理由は、溶剤の成分にあります。油性塗料はシンナーが用いられますが、水性塗料には水が用いられているため、独特の刺激臭がありません。
ただし、水性塗料にもVOCが含まれることがあるため、塗料の乾燥時にVOCが揮発して臭いを発生する可能性はあります。
塗料の臭いを最小限に抑える対策として、「低VOC」もしくは「ゼロVOC」と書かれた水性塗料を選ぶのが有効です。防腐剤や添加剤が臭いの原因になることもあるため、オーガニックペイントなどの無臭ペンキも検討しましょう。
私が実際にオーガニックペイントを使ってみたところ、表示通り臭いがなく、臭い対策をする必要さえありませんでしたよ!
まとめ|油性塗料の臭いがいつまで続くか心配な方は事前に対策を取りましょう

油性塗料には塗膜が厚く耐久性が高い、光沢のある美しい仕上がりになる、乾燥時間が早いなどのメリットがあります。その反面、シンナーやVOCによるきつい臭いが発生するデメリットがあるため、使用の際は熟考する必要があるでしょう。
油性塗料の臭いがいつまで続くか心配な方は、このコラムを参考に、事前に対策を取るようにしてください。
常に人が滞在する部屋などで、どうしても臭いがあると困る場合は、低臭・無臭タイプの水性塗料を選ぶのがおすすめ。そもそも臭いがしなければ、臭いがいつまで続くか悩む必要もなくなりますよ!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!