犬小屋のペンキ塗りはDIYできる!どんな塗料が安心でおすすめ?

記事 オーガニックペイントサポーター 原野 光佳

監修 シックハウス診断士 加納亜由美

最近は、犬小屋のDIY製作を行う人が増えており、SNSや動画サイトでも投稿が見られます。犬小屋を手作りしたい場合はもちろん、色褪せやペンキの剥がれが目立つ犬小屋の塗り直しなども、DIYでペンキ塗りが可能です。
しかし、ワンちゃんを愛する飼い主さんは、ペンキによる犬への影響が気になるのではないでしょうか。
このコラムでは、犬小屋のペンキ塗りをDIYで行う際の注意点をまとめていきます。動物に安全な塗料や犬小屋のペンキ塗りの手順を解説するので、DIYに活用してください!

犬小屋のペンキ塗りの前に!塗料が犬に与える影響とは

犬小屋のペンキ塗りを行う前に知っておきたいのが、塗料が犬に与える影響です。
ちょっとした行動の変化から、重大な症状まで、さまざまなリスクがあることを確認しておきましょう。

中毒症状を起こすリスクがある

ホームセンターや通販サイトで売られている一般的なペンキは、100%犬に安全とはいえないので注意が必要です。
その理由は、多くのペンキには人間や動物に悪影響を及ぼすVOCや有害物質が含まれているからです。

特に、油性ペンキに使用されているシンナーなどの有機溶剤は、人体や動物に有害なものが多く、中毒にかかる恐れがあります。急性中毒が発生すると、神経機能の麻痺による判断力の低下や四肢が動かなくなる、意識を失うなどの症状が起きることもあり非常に危険です。

VOCは、シンナーの主成分であり、常温でも気体になる性質を持ちます。気体になったVOCは呼吸や皮膚から体内に吸収されるため、塗装する人や塗装空間で生活する人、ペットに悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

しかも、VOCは高濃度で低いところに停留する性質があるので、地面に近い位置で過ごす犬は、人よりも影響を受けやすいといえます。

最近では水性塗料で低VOC塗料も見かけるようになりましたが、少なくてもVOCは入っているので注意が必要です。

異常行動を起こす可能性がある

ジェニファー・コーツ獣医師編集のPetMD(健康サイト)によると、犬の鼻は古来から生き残るために進化しており、その嗅覚は人の10万倍も優れているといいます。オリンピックサイズのプールに小さじ½の砂糖を入れても感知できるほどだというので驚きです。

その強力な嗅覚は、シンナー臭にも敏感に反応し、時に異常行動を起こすことがあるといわれています。

例えば、以下のような症状です。

【身体的な症状】
・咳、くしゃみ、肺の炎症などの呼吸器系の症状
・嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器系の症状
・皮膚や目、粘膜などへの刺激による症状(炎症、アレルギー含む)

【精神的な症状】
・落ち着きがなくなる
・元気がなくなる
・気性が荒くなる、攻撃的になる、吠える

犬小屋のペンキ塗りを行う前に、以上の点を確認して塗料の選定を行いましょう。

犬小屋のペンキ塗りで注意すべき3つのポイント

犬小屋のペンキ塗りを行う際にもっとも注意すべきなのは、塗料の種類です。安心安全に過ごせる犬小屋づくりは「塗料選び」からスタートします。
また、作業環境の整備など、ワンちゃんの安全性を確保する必要があるので、順に説明します。

VOCや有害物質が含まれる塗料を避ける

塗料が犬に与える影響を考慮し、犬小屋のペンキ塗りに使用するペンキは、VOCや有害物質が含まれるものを避けた方が良いです。

まず、大前提として、動物のいる環境で油性ペンキは絶対に避けた方が良いとされています。油性塗料には多くのVOCや有害物質が含まれており、強いシンナー臭があるため、中毒症状や異常行動を起こすリスクが高いです。
乾燥後も完全に無害ではなく、万が一犬が舐めてしまったり噛んだりした場合、健康被害をもたらす恐れがあります。

また、「水性塗料だから絶対に安全」というわけでない点にも注意が必要です。水性塗料は有機溶剤を使用しない分VOCや有害物質が少ないですが、一般的にはゼロではありません。VOC以外にも、防カビ剤や防腐剤などが含まれていることがあります。

人間には安全性が高いとされるペンキ・塗料でも、動物に対する影響が確認されていない場合があります。犬小屋に水性塗料を使用する場合でも、「動物への安全性はどうか」事前に調べる必要があるでしょう。

大切なワンちゃんの安全を第一に考えるなら、犬小屋のペンキ塗りには「水性塗料かつVOCゼロ」のペンキを使用するのがおすすめです。

作業環境を整える

犬小屋のペンキ塗りを行う事前準備として、作業環境を整えることが大切です。
塗装の作業効率とペット・人の安全性を高めるために、以下の準備を行いましょう。

十分な換気を行う(屋内の場合)

屋内でペンキ塗装する場合は、窓を開けるなどして換気を行ってください。
窓開け換気の際は、1ヶ所だけでなく対角線上にある2ヶ所の窓を開けると効率的です。空気の通り道を作ることで、室内のVOCや有害物質が外に出やすくなります。
窓が1ヶ所しかない場合は、ドアを開けて扇風機などを窓の方に向けて設置すると良いです。

風の強さを確認する(屋外の場合)

屋外でペンキ塗装する場合は、風の強さを確認してから作業しましょう。
風が強いと、ペンキの飛沫が飛びやすい・乾燥時にムラになりやすい・近隣に臭いが流れてトラブルの原因になる、といったデメリットがあります。
晴れや曇りで風の弱い日が塗装に向いています。

養生を行う

犬小屋のペンキ塗装の前に、作業場所をしっかりと養生しましょう。
犬小屋の下に新聞紙やビニールを敷き、ペンキが付着しないようにします。屋外で作業する時は、養生が風で飛ばないように、テープや釘での固定が必要です。

犬の安全を確保する

犬小屋のペンキ塗りを行う際は、犬を作業場所に近づけないようにしましょう。
オーガニックペイントのような無害なペンキであれば安心ですが、一般的な水性塗料の場合、乾燥前は毒性が強いといわれています。

犬の安全のためには、ペンキを塗ってから1ヶ月くらいの乾燥時間をとるのがおすすめです。

犬小屋のペンキ塗りをDIYで行う方法

ここからは、犬小屋のペンキ塗りをDIYで行う方法を紹介していきます。必要なものや塗装のポイントをまとめるので、参考にしてくださいね!

犬小屋のペンキ塗りに必要なもの

・刷毛、ローラー
・水性ペンキ
・木部対応のプライマー
・マスキングテープ
・養生シート(新聞紙、ビニール、ブルーシートなど)
・塗料皿
・電動サンダー(なければサンドペーパー)
・ブロワー(布でもOK)
・木材用パテ(ひび割れ補修が必要な場合)
・掃除道具(ブラシ、雑巾、中性洗剤など)
・使い捨て手袋、マスク、汚れてもいい服

以上は、犬小屋のペンキ塗りで最低限用意しておいた方がよいものです。
電動サンダーがあると作業効率が上がりますが、用意できない場合はサンドペーパーを何枚か揃えます。#120・#180・#240の3種類があると便利です。

犬小屋の大きさにもよりますが、6インチ程度の小さめのローラーがおすすめです。
小さめの犬小屋や細部を塗る時は、スポンジ刷毛が使いやすいですよ!

塗装手順とポイント

犬小屋のペンキ塗りは、正しい塗装手順で行うことで仕上がりが良くなります。
以下の手順で進めてください。

1、犬の安全確保のために、ケージなどに入れて作業場所から隔離します。
2、床を養生します。必要に応じて、家具を移動させたり壁の養生も行ったりしてください。
3、犬小屋が汚れている場合は、ブラシで掃いたり中性洗剤を薄めた水で拭いたりします。水拭きをして洗剤が残らないようにしましょう。
4、犬小屋表面を電動サンダーかサンドペーパー(#120・#180)で研磨します。塗膜が広範囲に浮いたり剥がれたりしている時は、一旦全部剥がした方がペンキの密着性が上がります。
5、必要に応じて補修を行います。腐食部分がある場合は削り落とすか、板を交換する必要があるでしょう。
6、プライマーを塗ります。製品の使用方法に従い、1度塗りします。4時間程度乾燥させるのが望ましいです。
7、ペンキを塗ります。容器から必要な分を塗料皿に移し、良くかき混ぜてから屋根部分を塗っていきます。凹凸や細かい箇所が多い部分なので、刷毛を使うと作業が楽になります。
8、犬小屋の壁部分は広くて凹凸が少ないので、ローラーを使って塗装します。木目に沿って、さっと塗るのがポイントです。
9、1度目の塗装が終わったら、6時間以上乾燥させてから2度塗りします。気温が低い時期や湿度の高い環境では、完全乾燥までに24時間以上かかることがあります。乾燥時間は長めに取るのがおすすめです。二度塗りの際にペンキの密着性を高めるために、#240のサンドペーパーで軽く研磨(足付け)するとよいです。

まとめ|犬小屋のペンキ塗りではペットに安全な塗料を使いましょう

犬小屋のペンキ塗りはDIYで行うことが可能ですが、塗料の選び方を間違えるとワンちゃんの健康を脅かす恐れがあります。

愛犬が毎日安心して過ごせる犬小屋づくりのためには、低VOCやゼロVOCなどの水性塗料を選ぶのがベストです。

もっというと、万が一犬が舐めた場合でも健康被害のないペンキを選ぶと安心。無害無臭なペンキは人体や環境にも優しく、いやな臭いがないので室内でも塗装できるのでおすすめですよ!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

関連記事