塗ったところが黒板として使用できる「黒板塗料」。黒板の定番カラーは緑色ですが、黒板塗料が普及しつつある今は、緑色以外にもさまざまな色の選択肢があります。
では、黒板塗料であえて緑色を選ぶ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
色の好みは人によって違うので、内壁塗装で好きな色を選ぶと嬉しさや安心感が得られることでしょう。
しかし、それ以前に、色はそれぞれ人に与える影響が異なります。
これを踏まえ、黒板塗料で緑色を選ぶメリットを紹介していきます。
そもそも黒板はなぜ緑色が定番なのか、疑問に思いやすいポイントもあわせてお伝えしますね!
目次
黒板塗料で緑色を選ぶ5つのメリット

住宅であれば内壁塗装や建具、家具の塗装や黒板作りに用いられていますし、店舗など商用ではメニュー表や看板製作に活用されることもあり、汎用性が高い塗料です。
黒板塗料で緑色が人気の理由として、5つのメリットが挙げられます。
目が疲れにくい

緑色は目の疲労を軽減する色とされており、長時間見ても目が疲れにくいのがメリットです。
可視光線(人の目で見える波長域の光)の中で、緑色に見えるものは「中波長」と呼ばれます。中波長は、波長の長さが中間くらいなので、波長が極端に短い紫や長い赤と比べると、目への負担が少ないといわれています。
目が疲れにくいことは、集中力の維持にもつながり、仕事や勉強などにおいてメリットが大きいです。
文字の視認性を高める
黒板塗料で塗ったところを黒板として使う場合、文字の視認性が求められます。文字を見やすくするには、背景と文字にはっきりとしたコントラストをつけるのが効果的です。一般的なチョークは白色なので、同系色の白や黄色などの黒板塗料だと、文字が見えづらくなります。
緑色は白との明度差や色相が明確に異なるため、文字の視認性を高める効果があるのです。
緑色は高齢者が見やすい色でもあるので、カラーユニバーサルデザインにも向いています。
塗装する素材や色によっては、高級感も増しますよ!
インテリアと調和しやすい
黒板塗料で緑色を選ぶメリットの一つに、インテリアと調和しやすい点が挙げられます。森や木など自然をイメージさせる色なので、木材とは特に相性が良いです。
緑色は暖色(赤やオレンジ)と寒色(青や水色)の中間にある中性色なので、どんな色にも合わせられます。
ナチュラル系インテリアはもちろん、北欧系や和モダンなどさまざまなテイストに取り入れることが可能。また、緑色は壁や建具、家具、小物など取り入れる場所を選ばず、飽きにくいのも特徴的です。
緑色は「目立たない、地味な色」というイメージがあるかもしれませんが、案外良いアクセントにもなる色です。
落ち着きや安心感を与えてくれる

緑色が持つイメージは、落ち着き・平和・自然・安心・安全など、ポジティブなものが多いです。
黒板塗料の緑色を住宅内やオフィスなどに上手く取り入れれば、緑色の色彩心理が良い効果をもたらしてくれるでしょう。
リラックス空間であるリビング、寝室、その他保育施設や病院などにも向いています。
また、緑色には目の疲労を軽減する効果もあるため、パソコン作業の多いオフィスにもおすすめです。オフィスに植物を設置した研究では、働く人の「仕事への意欲」や「職場環境への満足度」などが向上したという結果もあります。
黒板塗料の緑色を観葉植物や木材の家具とコーディネートすることで、相乗効果が期待できますよ!
色味によって異なる印象を与えられる
緑色は、色味(明度、彩度、色相)によって異なる印象を与えます。黒板塗料の色選びでは、暗く濃い緑と明るく鮮やかな緑とを使い分けることで、イメージ通りの空間づくりができますよ!
色味によって異なる緑色のイメージを以下にまとめます。
色味 |
イメージ |
明度が高い(明るい)緑 |
若々しい、落ち着きと軽やかさ、爽やか、清潔感のある |
彩度が高い(鮮やかな)緑 |
活気のある、新鮮な、元気な、斬新な、新しい |
青みがかった緑 |
静けさのある、青々しい、洗練された、清涼感のある |
黄みがかった緑 |
温かみのある、親しみやすい、自然な(大地の)、成長 |
明度が低い(暗い)緑、彩度が低い(くすんだ)緑 |
重厚感のある、落ち着き、信頼感、高級感、伝統的な |
色が人に与える4つの影響

内壁塗装やインテリアにおける色選びが重要な理由は、色が人に与える影響が想像以上に大きいからです。
色彩心理学では、色がもたらす影響は4つあるといわれています。
心理的影響
心理的影響とは、色が人の心理に影響を与えることです。特に、対象物を認識しやすくさせる働きがあり、記憶や学習能力に強く影響します。たとえば、避難場所は緑色、医療施設は青色、中華料理店は赤色、というように、色を振り分けることで各対象が認識しやすくなります。 同じ物でも色によって好みが分かれるのもまた、心理的影響によるものです。
生理的影響
生理的影響とは、色が人の神経や細胞に影響を与えることです。たとえば、赤色は心拍数を上げたり交感神経を優位にしたりする作用がありますが、青色は心拍数を下げ、交感神経を抑える沈静作用があります。色が私たちの身体にも影響を与えるとは驚きですね。
健康と色には関係性があるという見方もあるくらいなので、長時間を過ごす室内空間の色には特にこだわりたいものです。緑色は、病原菌や毒物を体外に排除する働きがあるとされています。
感情的影響

黄色やオレンジ色などを見ると明るい気持ちになる、緑色を見ると安心する、赤色を見ると興奮する、など、色は視覚的な情報を通じて感情に作用します。
文化的影響
文化的影響とは、国や文化の違いにより、同一色でも異なるイメージや価値観を与えることです。わかりやすい例は、「太陽の色」です。
日本ではほとんどの方が太陽=赤色を思い浮かべると思います。しかし、アメリカやヨーロッパで太陽を描くとき、黄色で描かれることが多いんですよ!
緑色のポジティブなイメージ「自然」「成長」「健康」などは世界共通のようです。
黒板塗料は緑色が人気!黒板の定番が緑色の理由とは?

黒板の定番カラーが緑色の理由には、黒板の歴史を紐解いていく必要がありそうです。
黒板が緑色になった歴史
黒板は「黒い板」と書くように、もともとは黒色をしていました。1810年にフランスからアメリカに伝えられた時には、板に黒い粉が塗られたものだったんです。
1872年に、日本初の学校制度が始まると同時に、アメリカ人教師が「ブラックボード」として黒板を持ち込みました。
日本に伝わった時には黒色だった黒板が、文字が読みやすい緑色へと変わっていきます。
黒板という名称だけがそのまま残り、緑色の黒板が普及していきました。
今はグレーの黒板も増えてきている!
まだまだ緑色が黒板の定番カラーではありますが、最近では黒・グレーの黒板も増えてきています。その理由は、色覚多様性の子どもに合わせたユニバーサルデザイン化にあります。
色覚多様性を持つ人は、黒板の暗い緑とチョークの赤を見分けにくいです。赤い文字を見やすくする背景色は黒・グレーなど明度の低い色です。
赤色のチョークを使わない選択肢もありますが、思い切って黒板の色を変えてしまうのも一つの方法ですね。
従来の黒板とは異なり、明るい緑や青みがかった緑は赤色と見分けやすいです。
ユニバーサルデザインを取り入れる場合は、色ごとの視認性を考慮して黒板塗料を選びましょう。
まとめ|黒板塗料に緑色を選ぶと多くのメリットがあります

従来の暗い緑だけでなく、緑色にはさまざまなバリエーションがあるので、イメージをコントロールしやすいのも魅力の一つです。
黒板塗料の緑色を室内塗装や家具塗装に用いる時、失敗しないためには色の与える影響と緑色のメリットを思い出してみてください。
「学校の黒板を家庭でも使いたい!」「落ち着きのあるインテリアにしたい」という場合には明度や彩度が低い緑を、「若々しく活気のある空間にしたい」「部屋全体を軽やかな印象にしたい」という場合は明度や彩度が高い緑を選ぶ、というような使い分けがポイントになるでしょう。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!