学校や保育施設でDIY塗装|黒板塗料や安全性の高いペンキのすすめ

記事 オーガニックペイントサポーター 原野 光佳

監修 シックハウス診断士 加納亜由美

学校や保育施設によっては、先生と生徒・園児が協力してDIY塗装する取り組みを行うところもあると思います。
DIY塗装は、子どもの創造力や集中力、コミュニケーション能力を育むよい機会です。黒板塗料を使えば、子どもが自由に絵を描けるスペースも作れます。しかし、塗料は成分によっては人体に影響を与えることがあるため、安全性を考慮して選ぶ必要があります。
このコラムでは、黒板塗料の特徴や学校・保育施設での導入事例、黒板塗料の採用ポイントについて解説していきます。

学校や保育施設で採用されている黒板塗料とは?

黒板塗料とは、塗ったところが黒板になる機能性塗料で、チョークボードペイントとも呼ばれています。アクリル系の樹脂に顔料、結合剤、増粘剤などの成分で構成された色付きのペンキです。

特徴とメリット

本格的に製造・販売が開始されたのは、1989年頃から。アメリカやイギリスが発祥のペンキなので、カラーバリエーションが豊富であざやかな発色が特徴的です。

もともとは業者の塗装で用いられていましたが、2010年代のDIYブームを機に、DIY塗装でも使われるようになりました。

壁やドア、窓枠はもちろん、机やイスなどの家具、植木鉢、おもちゃ、遊具など、さまざまな場所に塗装できるのが黒板塗料のメリットです。ちょっとしたペンキの塗り直しから、オリジナル家具の製作なども楽しめます。

もちろん、塗ったところは黒板になるので、チョークで文字や絵を描くことができます。 「塗る楽しさ」と「描く楽しさ」の2つの楽しさを与えてくれるのが黒板塗料です。

用途や導入事例

学校や保育施設での黒板塗料の用途や導入事例を一部紹介します。

・壁やドア、窓枠など教室内の塗装
・廊下や遊具、校門など共有部分の塗装
・壁の一部や木板、鉄板などを黒板にする
・マグネットの付く黒板を作成する
・机やイス、教卓、ロッカーなど備品の塗装
・家具や植木鉢、おもちゃなどの塗装
・伝言板や掲示板の作成
・イベント(学園祭、入学式など)で使用する看板の作成
・授業やワークショップでミニ黒板作り

上記のように、黒板塗料はDIY塗装であらゆる用途に使用できます。

黒板塗料の採用ポイントは?安全性の判断基準

学校・保育施設で黒板塗料を使用する場合、特に重視したいのが「安全性」と「耐久性」です。どちらも塗料としての実用性を考えるうえで欠かせない要素ですが、子どもの健康や発育に直接影響するため、安全性にはより一層の配慮が必要です。

黒板塗料における安全性の判断基準を知ったうえで、安心して使用できる塗料を採用しましょう。

低臭・臭いがない

黒板塗料には油性と水性、溶剤系スプレーの3種があり、油性塗料や溶剤系スプレー塗料はペンキ特有の臭いが強い傾向にあります。
実際に、ネットのQ&Aサイトでも「学校の塗装で、子どもがペンキ臭で体調不良になった」「新築の保育園で壁のペンキがシンナー臭かった」というトラブル事例がみられます。

これは、油性塗料などに含まれる有機溶剤が原因です。
有機溶剤とは、塗料を薄めたり粘度を調整したりするのに使われる溶剤の総称で、これらを混合したものは一般的にシンナーと呼ばれます。塗料を希釈するほか、刷毛やローラーの洗浄にも使用されます。
有機溶剤は揮発性が高いため、乾燥の過程で強い臭いが発生するのが難点です。

ペンキの臭いによる体調不良リスクを軽減するには、低臭タイプや臭いがない水性塗料を選ぶことが重要です。水性塗料はシンナーの代わりに水を使うため、刺激臭が少ない傾向にあります。

低VOC・ゼロVOC

有機溶剤のように揮発性の高い化学物質は、VOC(揮発性有機化合物)と呼ばれます。代表的なものに、トルエン・キシレン・アセトン・酢酸エチルなどが挙げられます。

VOCは独特の刺激臭を発生させるだけでなく、人体に悪影響を及ぼす可能性があるものです。めまいや吐き気、頭痛などの急性中毒症状が報告されています。
また、シックハウス症候群の原因物質とされており、一部は発がん性が指摘されています。学校では、こうした問題が「シックスクール問題」と認識されており、塗料や建材などから発生するVOCの量を抑える取り組みが進められています。

日本では、シックハウス対策として、厚生労働省が室内空気中の化学物質について、11物質の室内濃度指針値を定めています。この指針値は、塗料のほか、接着剤や建材などから発生するVOCも含めたものです。
一方、世界的にも室内空気の安全性が重視されており、世界保健機構(WHO)のガイドラインでも、約50物質について健康影響の評価や基準値が表示されています。

学校や保育施設で使う黒板塗料は、国内外の基準を踏まえ、低VOCやゼロVOCのものを選ぶようにしましょう。

防カビ剤や防腐剤が含まれない

黒板塗料はすべてが無害というわけではありません。水性塗料でもゼロVOCでも、性能を維持するためにさまざまな添加剤が使用されており、人体に有害な物質が含まれている可能性があります。

代表的な例が、保存性や耐久性を高めるための防カビ剤や防腐剤です。
塗料の防カビ剤や防腐剤が原因でシックハウス症候群や化学物質過敏症になる人もいます。 例えば、防腐剤として用いられるイソチアゾリノン系化合物は、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性がある物質として知られています。

学校や保育施設には、体質の異なる子どもたちが集まります。
「塗装中も塗装後も、子どもたちが安心して過ごせる環境にしたい」 と思っている方は、防カビ剤や防腐剤などの添加物を使用していない黒板塗料の採用も検討してみましょう。

ホルムアルデヒド放散量が少ない

ホルムアルデヒドはVOCの一種で、塗料以外に接着剤や建材、家具などから放散されることがあります。 国際がん研究機関(IARC)により、発がん性分類の中でもっとも高い「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」に分類されている物質です。 文部科学省が定める「学校環境衛生基準」では、教室内のホルムアルデヒド濃度は100μg/m3 (0.08ppm)以下と定められています。これは、シックスクール問題を防ぐため、教室内の化学物質濃度を一定以下に保つことを目的とした基準です。

塗料や建材には、ホルムアルデヒド放散量を示す等級が設けられており、放散量がもっとも少ない等級が「F☆☆☆☆(フォースター)」です。学校や保育施設で黒板塗料を採用する際は、この等級も重要なポイントになります。

安全データシート(SDS)で成分を確認する

黒板塗料の安全性の判断基準として、メーカーが公開している安全データシート(SDS)も参考になります。以前は、MSDS(化学物質等安全データシート)と呼ばれていました。

SDSには、塗料に含まれる化学物質や危険性(毒性)、取り扱いや保管上の注意点などが記載されています。

多くの製品は、SDSは公開されていても配合割合や添加剤が明記されていないため、子どもへの影響を考えると不安が残るのではないでしょうか。
全成分が公開されている塗料かどうかも確認しておきたいポイントです。

黒板塗料の耐久性は?水性塗料は水で落ちない?

黒板塗料の耐久性に疑問を持っている方も多いと思います。学校や保育施設で使用される黒板塗料の多くは水性塗料です。水性塗料と聞くと、「水で落ちる」「水拭きすると剥がれる」といったイメージがあるかもしれません。

確かに、水性塗料は完全に乾燥するまでは水に弱い性質があります。
しかし、いったん塗料が乾いて塗膜ができると、水がかかっただけで落ちることはありません。 現在流通している水性塗料は油性塗料と同等の耐久性や耐水性を持っているため、屋外塗装にも使われることが増えています。油性塗料に比べて臭いやVOCの放出量が少ないため、屋外塗装でもクレーム防止になるなどメリットは多いです。
室内塗装では、通常雨に濡れたり大量の水がかかったりすることはないため、水で落ちることはまずないと考えられます。

黒板塗料の耐久性について不安がある場合は、外部機関の耐候テストなどを受け、一定の耐久性が認められた製品を選ぶと安心です。水性の黒板塗料でも、10年以上の耐久性を持つものもあります。

 

まとめ|学校・保育施設での黒板塗料の採用ポイントは安全性の高さ

学校・保育施設でDIY塗装を行うことや黒板塗料を使うことは、子どもに「塗る楽しさ」「書く楽しさ」を与えます。

しかし、強い臭いがありVOCを多量に含む油性塗料は、子どもの体調不良の原因になるだけでなく、保護者からのクレームにつながる可能性があります。特に、教室の壁やドア、備品など子どもが長時間過ごす室内塗装では、塗料選びに注意が必要です。

「塗料の臭いが強い環境にいさせるのは心配…」という親御さんも多いでしょう。学校や保育施設で黒板塗料を使用する際は、水性塗料を選ぶなど「安全性」を優先して採用しましょう。臭いやVOCを気にする必要のない黒板塗料を使用すれば、DIY塗装が楽しめるだけでなく、保護者の安心感や学校・保育施設への信頼にもつながります。

子どもたちや親御さんに自信をもって紹介できる塗料を使用したいですね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

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