ペンキが剥がれてくると、美観や塗料の性能が低下するため、ペンキ剥がれの塗り直しの必要性は高いです。
室内リフォームなどで「壁のペンキ剥がれを塗り直したい」という時、業者に依頼すると費用が高額になったり、スケジュール調整が必要になったりします。
一般的にはDIYの方が安く済むことが多いため、ペンキ剥がれの塗り直しをDIYで行う人は少なくありません。
このコラムでは、ペンキ剝がれの塗り直しをDIYで行う方法を解説します。
ペンキ剥がれが発生する原因や、古い塗膜の下地処理についてもまとめるので、一つずつ確認してくださいね!
目次
ペンキ剥がれが発生する2大原因は?

塗装から10年以上経過している場合は経年劣化、数年で剥がれた場合は施工不良、と考えることができます。
経年劣化
ペンキが剥がれる主な原因は経年劣化です。外壁ほどではありませんが、室内の壁や窓枠、天井、床なども紫外線や温度変化、湿気、埃などの影響を受けます。塗料の耐用年数も含めたさまざまな要因が重なり、塗膜が劣化することでペンキ剥がれが生じます。
ペンキ剥がれは、塗膜自体の劣化だけでなく、下地の劣化でも起こり得ることです。
例えば、以下の要因が関係します。
・木材の腐食
・金属の錆び
・コンクリートのひび割れ
・壁紙の湿気による変形
・石膏ボードの湿気による膨張
下地の種類を問わず、水回りは湿気が多いので劣化しやすいです。キッチンや浴室などは、寝室やリビングなどの居室よりもペンキ剥がれが起きやすいと考えましょう。
施工不良
通常、ペンキ剥がれは塗装から数年で起こることはありません。塗装からまもなくペンキが剥がれた場合、施工不良が原因の可能性が高いです。施工不良は必ずしも意図的に生じるとはいえませんが、手抜き塗装によりペンキ剥がれが発生するケースは少なくありません。
以下は、ペンキ剥がれの原因になる施工不良の一例です。
・2度塗りを1度塗りにするなど、塗装回数を減らした
・プライマーなどで下塗りをしていない
・ペンキを希釈しすぎた(薄めすぎ)
・乾燥時間が不足している
・湿度が高くて塗料が密着しなかった
・塗膜下に油分や埃、水分などの異物があった
・旧塗膜と塗料の密着力が低かった
上記のように、塗装工程に問題があると、ペンキが早期に剥がれることがあります。
古い塗膜の下地処理はどうする?既存塗膜別の方法

塗り直すペンキは水性が前提
室内でペンキ剥がれの塗り直しをするのであれば、水性ペンキがおすすめです。室内壁や建具、家具などを塗装する場合、油性ペンキを使うメリットは少なく、水性ペンキを使うメリットが多くなります。
油性ペンキのデメリットを簡単に説明しておきます。
もっとも懸念すべきポイントは、人体への影響です。油性ペンキの希釈剤である有機溶剤には、さまざまな有害物質が含まれています。
中でも、VOC(揮発性有機化合物)は、常温でガス状になり、大気汚染の原因になるほか、シックハウス症候群など健康被害を引き起こすとして規制されています。
水性ペンキには有機溶剤が含まれておらず、VOC含め有害物質が少なくなっており、室内でも安心して使用できます。
近年の水性ペンキは耐久性も十分なので、塗り直すペンキは水性を前提に考えましょう。
剥がれかけた塗膜の処理(ケレン)

まずは、剥がれかけた塗膜をしっかり除去する必要があります。
手で剥がせる部分は手でも問題ないですが、スクレーパーやサンドペーパーなどで除去する方が効率が良いです。木材には向きませんが、ワイヤーカップブラシを使う方法もあります。
サンドペーパーはケレン向きの番手を使う必要があり、段階的に番手の数を増やすのが一般的です。
1, #100以下の粗目のサンドペーパーで目立つ部分を剥がします。この時、あまり細かい番手で作業すると、しっかり削れないことがあります。
2, #120〜240の中目のサンドペーパーで木材や金属などの表面を滑らかにします。
3, #280〜400の細目のサンドペーパーで塗装前の下地調整を行います。
ケレンの工程では、既存塗膜と下地との段差部分をなくすことがポイントです。
塗膜の粉が付着していると塗料の密着性が下がるため、雑巾などでしっかりと拭き取りましょう。
既存塗膜に適した方法で下地調整
既存塗膜の種類によって、下地調整の最適な方法が異なります。もし、古い塗膜が水性ペンキであれば、表面の汚れなどを取り除くだけで塗り直しが可能です。
しかし、油性ペンキを塗った上に水性ペンキを塗りたいのであれば、#120くらいのサンドペーパーで全体を研磨してから塗装する必要があります。油性ペンキは水性ペンキをはじく性質を持っているからです。
また、ウレタン塗料などの硬めの塗膜には#80のサンドペーパーを用いて、ツヤがなくなるまで研磨することが推奨されます。
必要に応じて、補修用パテやフィラーなどで傷やへこみを修復し、表面を平らにしましょう。
プライマー・シーラーの塗布

塗装箇所の表面が整ったら、プライマーもしくはシーラーで下塗りをします。塗料の密着性を上げる目的ではプライマーを、塗料の吸い込みを抑える目的ではシーラーを使うのが一般的です。
壁を塗装する場合、一般的な壁紙や石膏ボードであればプライマーを使用します。
コンクリートや木材などの多孔質な素材は塗料を吸い込みやすいため、対応しているプライマーかシーラーを用いるとムラや密着不良が防げます。
下塗り後は、製品ごとに定められた十分な乾燥時間を取りましょう。
ペンキが剥がれた箇所を塗り直す!失敗しないコツは?

ペンキを塗り直す箇所がどこであっても、仕上がりを良くするポイントや失敗しないコツは共通です。
細部→広い面の順に塗る
ペンキの色ムラを防ぐためには、一度の塗装で厚塗りをするのではなく、二度塗りや三度塗りを行って少しずつ塗り重ねていくことが大切です。重ね塗りの際は、一度塗装を終えたら十分に乾燥させてから次の塗装に移ります。
ローラーと刷毛の使い分けも、作業効率や仕上がりに影響します。
DIYでもプロの塗装作業でも、広い面はローラーを使う、細部や端部は刷毛を使う、というのが基本です。
例えば、壁を塗装する場合の基本的な順序は以下になります。
1, 壁の隅やコーナー部分、窓枠、コンセント周辺などを先に刷毛で塗っておく
2, 壁や天井など広い面をローラーで塗る
このように、細かい部分→広い面の順で塗装すると仕上がりが綺麗になります。
天候の悪い日や湿度の高い日を避ける

塗装業者に依頼した場合でも、雨天時は作業が中止になるのが一般的です。DIYでペンキを塗る場合も、天候の悪い日は避けた方が無難でしょう。
また、雨が降っていなくても湿度の高い日は塗装に向いていません。湿気や結露は、ペンキの乾燥を遅らせ、剥がれや膨張、白化、色分かれなどの原因になるからです。
湿度が80%以上の環境での塗装も推奨されていません。塗装場所の湿度を計測し、湿度が80%以下の場合に塗装しましょう。
どうしても雨の日に塗装しなければならない場合、換気を十分に行う・扇風機やサーキュレーターで送風する、などの対策を行うことをおすすめします。
業者に依頼した方がいいケースもある
修復する箇所が狭い範囲、下地に問題がない、足場のある場所、といった条件では、DIYでの塗り直しも可能です。そうでない場合、ペンキ剥がれの塗り直しを、業者に依頼した方がいいケースもあります。
・壁の大半に著しい剥がれがある
・下地が反っている、劣化が激しい
・下地が腐敗している
・吹き抜けなど高所作業を伴う
・DIYの時間がとれない、自信がない
賃貸物件では、大家さんや管理会社が指定するペンキが使用されることが多いですが、持ち家の場合は自由に指定できます。
無理をせず、業者に依頼する選択も検討しましょう。
まとめ|ペンキ剥がれの塗り直しは下地処理が重要

水性塗料を使用することを前提に、必要な塗装道具を揃えることから始めましょう。
ペンキ剥がれの塗り直しでは、スクレーパーやサンドペーパー、パテ(フィラー)、プライマー(シーラー)、ローラー、刷毛が必須です。これらを用いて正しい手順で作業することが美しく仕上げるポイントになります。
皆さんも、DIYでペンキ剝がれの塗り直しにチャレンジしてみてくださいね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
