マグネットが使える黒板は、教育施設やオフィスではもちろん、家庭でもさまざまな活用法があります。
「黒板塗料でマグネットが付く黒板を作りたい」
「チョークで文字が書けて磁石がくっつく壁にしたい」
など、DIYでマグネットがつく黒板・シートを作りたいという方が増えています。
磁石が付く黒板を作るのは難しそうなイメージですが、実はDIYでも製作可能です。
ただし、黒板塗料を塗る材質や、マグネットが付く範囲など、どのような黒板・シートにしたいかによって必要な物や製作の方法が異なります。
このコラムでは、DIYをする方に向けて、黒板塗料でマグネットが付く黒板を作る方法を解説します。また、黒板塗料をマグネットシートに塗るアイデアについても紹介していきますね!
目次
マグネットが使える材質と使えない材質

マグネットが使える材質(磁性体)は、鉄・コバルト・ニッケルなど。一部のステンレス(フェライト系・マルテンサイト系)もマグネットが使えます。
以下は、マグネットが使えない材質(非磁性対)の一例です。
・木材
・ガラス
・アクリル
・アルミ、銅、金、銀
・紙
・プラスチック
・ステンレスの一部(オーステナイト系)
DIYでマグネットが使える黒板を作る際は、「対象物の材質」によってベストな方法が異なります。
方法1.黒板塗料をスチールシートに塗る

黒板塗料を塗ったスチールシートを壁や家具に貼れば、マグネットでメモを貼ったり、チョークで文字を描いたりできます。
私も最近、スチールシートに黒板塗料を塗って「マグネットで遊べる黒板」を作りました。
上の画像は、私がDIYで作成した時に撮影したものです。
スチールシートとは
スチールシートとは、主に鉄でできた薄いシートで、表面にマグネットが付くようになっているものです。裏面には粘着剤が付いており、本来マグネットが使えない材質に貼り付けることで、マグネットが付くようになります。「マグネットが付くシート」「マグネット用ベース」などの名称で販売されていることもあります。
間違えやすい製品にマグネットシートがありますが、こちらは黒板塗料を塗っても、基本的にはマグネットが付く黒板にならないので注意が必要です。(マグネットシートについては後述します。)
スチールシートは、はさみやカッターで簡単に切れるので、DIY初心者でも扱いやすいです。シート状なので、曲げて使用することもできます。
ただし、重量のあるものをくっ付けたりぶら下げたりするのには向きません。ネオジム磁石など磁力の強いマグネットが推奨されています。
黒板塗料の塗り方

サンディング
スチールシートに黒板塗料を塗る前に、サンドペーパーで表面の目荒らしをします。プライマー塗布
プライマーを塗ることで①塗料の密着性を高める②塗料の吸い込み防止③ピンホール(気泡)抑制などのメリットが得られます。使用前によく攪拌し、乳化させることがポイントです。
無希釈で塗装できる製品がほとんどですが、使用方法については製品の説明をよく読んでください。
黒板塗料の塗布
プライマーが十分に乾いたら、スチールシートに黒板塗料を塗ります。塗装面が広い場合は塗装用ローラーを、細かい部分は刷毛を使うなど塗装用具を使い分けるのがおすすめ。個人的には、スポンジ刷毛がムラになりにくくおすすめです。
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塗装前の下処理で使うサンドペーパーは、#180~#240など仕上げ用のものが推奨されています。それよりも番手の小さい#80などだと、塗膜の厚みよりも深く削れてしまうため、塗装後に凹凸ができやすいです。 |
壁をマグネットが付く黒板にするには?
一般的に、壁紙やツキ板の上からスチールシートを貼ることは推奨されていません。新築やリフォーム時に、下地(石膏ボードなど)と壁紙・ツキ板との間にスチールシートを貼り付ける方法を取ります。
これにより、一見するとごく一般的な壁は、マグネットが付く壁に変えられます。さらに、壁紙に黒板塗料を塗れば、「マグネットが付く黒板」になります。
方法2、マグネットペイントを塗る

木の板やプラスチックなど、マグネットが付かない材質にもマグネットが付くようになるので、手軽にDIYでマグネットが付く黒板が作成できますよ!
マグネットペイントとは
マグネットペイントとは、塗ったところがマグネットボードになる塗料です。塗料の色はグレーが一般的で、特殊な方法で鉄粉を混ぜているので、時間が経っても錆びることはありません。マグネットペイントを塗ってから黒板塗料を塗れば、マグネットが付かない材質のものも「マグネットが使える黒板」に変えられます。マグネットペイントが役立つ場面は…
・スチールシートを壁の中に仕込めない時(壁紙の上からリフォームしたい時)
・大きな壁や広い範囲をマグネットボードにしたい時
・木の板や家具など壁以外の物にマグネットをつけたい時
などが挙げられます。
以下にメリット・デメリットをまとめます。
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メリット |
・作業は塗装だけなので、DIY初心者でも取り組みやすい。 ・マグネットにする範囲や形を自由にデザインできる。 ・マグネットの吸着力を塗装回数で調節可能。 |
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デメリット |
・通常のペンキよりも粘度が高く、デコボコしやすい。 ・コテやヘラで平滑に塗る必要がある。 ・マグネットの吸着力を高めるには、数日かけて塗装が必要。 |
マグネットペイントの塗り方
プライマーを1回塗装し、十分乾燥させてからマグネットペイントを塗ります。マグネットペイントは通常のペンキより重たいので、塗料用の攪拌棒を使ってかき混ぜるのがおすすめです。
1回塗りの後、1時間以上置いて乾燥させてから重ね塗りをします。乾いていない状態で上塗りするとひび割れの原因になるので注意しましょう。
重ね塗りの回数が増えるほど鉄の分量が多くなる(吸着力が強くなる)ため、2〜3回塗りをすると良いです。
丸一日乾燥させてから、再度プライマーを塗ります。プライマーが十分乾き、白い塗膜が完成したら黒板塗料を2度塗りします。黒板として使用できるようになるのは、24時間以上乾燥させた後からです。
方法3.鉄板や鉄製のものに黒板塗料を塗る

鉄板をカットしたり設置したりする作業が必要になるため、店舗や幼稚園・保育園・オフィスなどで専門業者に取り付けを依頼する場合に向いています。(DIYでも可能です。)
鉄板に黒板塗料を塗るメリット
鉄板に黒板塗料を塗るメリットは、マグネットが安定して吸着することです。マグネットの吸着力に影響する要素の一つが「厚み」です。鉄板はスチールシートよりも厚みがあるため、マグネットの付きが良く、ネオジム磁石のような極力なマグネットフックを使用すれば、重たいものを吊り下げることができます。
その他、こんなメリットも…
・耐久性が高い黒板になる
・厚みのある鉄板を選べば吸着力を高められる
・チョークでの描き心地が滑らか
DIYで鉄板を「マグネットが付く黒板」にする場合、ガルバリウム鋼板やマグネットボードなどがおすすめです。
冷蔵庫に黒板塗料を塗ってもOK
多くの家庭で、冷蔵庫にマグネットが付いている光景が見られます。冷蔵庫にマグネットが付く理由は、冷蔵庫の素材が鉄だからです。「メモを留めたい」という主婦の方たちの要望もあり、鉄製になったという説もあります。
今ある物をマグネットが付く黒板にしたい場合、冷蔵庫に黒板塗料を塗るのがおすすめです。家族へのちょっとしたメッセージや献立などのメモをマグネットで貼れてとても便利!
ただし、注意点があります。
・側面や背面にマグネットを透けすぎると、故障や放熱の妨げになることがある
・ガラスドアなどマグネットが付かない冷蔵庫もある
冷蔵庫に塗装する場合は、マグネットを付ける位置や材質を確認しましょう。
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【塗装時のポイント】 鉄板に黒板塗料を塗る際は、プライマーで下地塗装をすると錆止め効果が期待できます。 プライマー塗装の前に#300前後のサンドペーパーで目粗ししておくと良いです。 |
黒板塗料をマグネットシートに塗るアイデア

マグネットシートは、鉄やスチールに貼り付けるためのシートで、表面の材質はさまざまです。
例えば、表面がマット紙や光沢紙になっているものは、家庭用インクジェットプリンターなどで写真印刷が可能です。
黒板塗料をマグネットシートに塗ると、好きな形・サイズの黒板をマグネットにできます。
この方法は、「冷蔵庫などに直接黒板塗料を塗りたくない。だけど、黒板として使いたい。」という時に最適です。
マグネットが付く物であればどこにでも貼れるので、以下の用途でも使用できます。
・職場のロッカーやキャビネットに伝言板として貼る
・商用車の車体に貼って社名広告を行う
・ドアに貼って来客へのメッセージボードとして使う
印刷ではなく手書き文字・イラストを描くことで、見る人に「温かみ」を感じさせることができますよ!
まとめ|黒板塗料やマグネットシートを併用してオリジナルの黒板を作りましょう

使えるものをまとめると、①スチールシート②マグペイント③鉄板や鉄製のものの3つです。
スチールシートやマグペイントは、室内の壁や家具など、狭い範囲から広い範囲までを「マグネットが付く黒板」にしたい人向けです。DIYで手軽に作業しやすく、形を自由に決められるメリットがあります。鉄板の取り付けができる・頑丈な黒板を作りたい・最初からマグネットが付く物に塗装するといった場合は、鉄板や鉄製の物に黒板塗料を塗る方法がおすすめです。
黒板塗料をマグネットシートに塗る方法なら、黒板をマグネットにできます。
このコラムで紹介したアイテムを使用して、オリジナルの黒板を作りましょう!
最初からつや消しペンキとして製造されているペンキなら、余分な添加剤が含まれておらず、耐久性も安定しています。 このコラムを参考に、艶ありにするか?つや消しにするか?を再検討してみてくださいね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
