DIYでは、屋内のあらゆる場所が塗装できます。代表的なのは、室内壁・天井・床・ドア・柱・窓枠ですが、家具や家電製品を塗装する方も増えています。
屋内塗装を考えた時、最初に悩むポイントが「ペンキの選び方」ではないでしょうか。
ペンキを含め、屋内用塗料にはさまざまな種類があり、耐久性や安全性、仕上がりに違いがあります。ペンキの選び方一つで、作業のしやすさや健康への影響が大きく異なるため、製品ごとの成分表記はしっかり確認しておきたいところです。
このコラムでは、屋内用のペンキにはどんな種類があるのか、おすすめの選び方を解説していきます。
目次
屋内用ペンキの種類と特徴

それぞれ、塗料に含まれる成分や希釈剤が異なり、用途や仕上がり、安全性などが違います。
健康面や安全性を考慮するのであれば、低VOCで臭いが少ない水性塗料、自然系塗料がおすすめです。
耐久性が高く仕上がりが綺麗【油性塗料】
塗料は、一般的に顔料・樹脂・硬化剤・溶剤・添加剤の5つの成分で構成されます。油性塗料(油性ペンキ)は、他の物質を溶かす性質のある「有機溶剤」が使用されているのが特徴的です。
有機溶剤の働きによって、以下のメリットが得られます。
・塗膜が強固で耐久性が高い
・密着性が高い
・仕上がりが綺麗
・乾燥時間が気温に左右されにくい
・レベリング性(表面平滑性)が高くツヤがある
油性塗料の最大のメリットは、仕上がりが美しく、赤・青・黄など彩度の高い色でも鮮やかな色調が表現できることです。
その一方、デメリットも多いので注意しなければなりません。
・環境や人体への影響がある
・塗装時や塗装後の臭いが強い
・引火性を持つ塗料もある
・保管方法や処分方法に規制がある
健康被害の原因になる「VOC(揮発性有機化合物)」や有害物質を含むため、室内塗装には向きません。現在、油性塗料が屋内用ペンキとして使用されるケースは少なく、木材(ドア・窓枠・巾木など)や金属(階段の手すり・サッシなど)といった部分的な使用に留めることが推奨されます。
臭いが少なく安全性が高い【水性塗料】

現在、室内塗装では水性塗料が主流になっており、その理由として以下のメリットが挙げられます。
・臭いが少ない(無臭ペンキもあり)
・VOCや有害物質が少ない(含有しないペンキもあり)
・環境や人体への影響が少ない
・乾燥時間が短い
・保管や処分に手間がかかりにくい
水性塗料が室内塗装で推奨されるのは、臭いが少なく、環境や人体に影響を及ぼすVOC、有害物質の放出が少ない点にあります。壁や天井など、室内の広範囲の塗装に向いています。
水性塗料の中には、無臭ペンキやVOCゼロ、有害物質ゼロのペンキもあり、赤ちゃんやペットのいる家庭でも安心です。
「水性塗料は耐久性が低く水で流れる」というイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には、性能確認試験によって油性塗料と同等の性能があるという報告もあり、水性塗料だから耐久性が劣るということはないとされています。
また、完全乾燥した後は、水で流れることはないので、屋外でも使用可能です。
現在では、外壁塗装や屋根塗装でも水性塗料が使用されるケースが増えています。
温かみや味わいがある【自然系塗料】

原料に石油系の樹脂や溶剤、合成顔料などが含まれず、環境にも人体にも優しい塗料として知られています。主に木材に使用されますが、塗料によっては壁紙や漆喰などに使用可能です。
自然系塗料=水性塗料と認識している方もいるかもしれません。しかし、実際には油性・水性のどちらのタイプもあります。また、有機溶剤ゼロとは限らないため、VOCや有害物質を気にする場合、製品ごとに成分を確認する必要があります。
自然系塗料の中には、食品衛生法の基準を満たすものもあり、おもちゃや食器に使用できる塗料もあります。
自然系塗料は、成分によって4種類に分けることが可能です。
|
種類 |
主な成分 |
特徴 |
|
オイル系 |
ひまわり油、亜麻仁油、えごま油 |
塗膜を作らず、木の質感が生かせる |
|
ワックス系 |
蜜蠟、カルナバ蝋、カンデリラ蝋 |
薄い皮膜ができる、防汚性やはっ水性がある |
|
オイルワックス系 |
オイル系+ワックス系の成分 |
薄い皮膜ができる、木材の保護機能を持つ |
|
ワニス系 |
ダンマル、コパール、松脂+植物油の溶剤 |
硬い塗膜を作り、耐水性や耐久性が高い |
屋内用ペンキのおすすめの選び方

屋内の塗装で使うペンキを選ぶ際は、仕上がりの良さだけでなく、色や臭いの有無、機能性、塗装面の素材なども重要な判断基準になります。
屋内用ペンキ選びで失敗しないための、おすすめの選び方を紹介します。
トレンドやイメージに合った色
リビングやキッチン、寝室など、毎日過ごす部屋の色にはこだわりたいもの。ペンキ選びを色から始める方は少なくないと思います。どの色を選ぶか迷った時は、トレンドカラーやインテリアのイメージに合った色を選ぶのがおすすめです。
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が選定した2026年の色は「ハートフェルト・ピンク」です。ライトピンクに分類されるこの色は、可愛らしさと明るさ、優しさを兼ね備えているのが特徴的です。
ピンクとホワイトは相性が良く、どちらかの色を壁に、もう一方を家具に取り入れるなどすると、柔らかい印象の空間になります。壁をピンクとホワイトのツートンにするのもおしゃれです。
落ち着いた雰囲気にしたい時は、くすみピンクやくすみホワイトなど、彩度の低い色を選びましょう。
低VOCや低臭など人体への影響の少なさ

油性塗料にはシンナーなどの有機溶剤が含まれるため、強い臭いが塗装から3日程度続くことがあります。有機溶剤が放出するVOCは、シックハウス症候群の原因であり、中には発がん性のある物質もあるので注意が必要です。
水性塗料の多くは、低臭や低VOCなので人体への影響を最小限に抑えられます。
安全性を最優先にするのであれば、無臭ペンキやゼロVOCのペンキを選ぶのがおすすめです。
耐久性や美観を維持する機能性

機能性塗料の代表的な機能として、抗菌・防カビ機能が挙げられます。
抗菌機能を持つ塗料には、光触媒や銀イオンなどの抗菌剤が用いられています。防カビ機能を持つ塗料には、ヒノキチオールやチモール、d-リモネンなどの防カビ剤が含まれています。
同じ抗菌・防カビ機能を持つ塗料でも、油性と水性では用途の向き・不向きがあるので使い分けが必要です。
油性は耐久性や耐水性に優れているため、木部や水回りに向いています。一方、水性は低臭で乾燥しやすいため、屋内に向いています。
その他、以下の機能が挙げられます。
・遮熱性、耐熱性
・防火性
・防水性
・防音性、遮音性
・耐薬品性
・蛍光性、夜行性
用途や必要な機能から塗料選びをすることも重要なポイントです。
塗装面の材質

例えば、一般的な壁や天井の石膏ボードやビニールクロスには、水性塗料が向いています。木材の場合は、色で塗りつぶしたい時は水性塗料、木目を生かしたい時は自然系塗料が適しています。
金属は塗料を吸い込まない素材なので、水性塗料だと密着性が低くなりやすいです。もし、金属に水性塗料を塗装するのであれば、プライマーで下塗りをしてから塗ると仕上がりが良くなります。
まとめ|屋内用ペンキはさまざまな視点で選びましょう
屋内用塗料は油性塗料・水性塗料・自然系塗料の3種類に分けられます。壁や天井などの広範囲を塗装する場合、水性塗料・自然系塗料を使用するのが望ましいです。水性塗料と一言でいっても、メーカーや製品によって色や用途、対応する材質、機能性などが異なります。
主観も入りますが、「臭い」や「有害物質」の少ないペンキは失敗リスクが少ないと思います。
ペンキ選びで失敗しないためにも、屋内用ペンキを選ぶ際は、さまざまな視点で判断することが大切です。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
