「ペンキを塗装した後、ローラーを処分するのはもったいない…」と思いませんか?
ペンキ用ローラーは、正しい洗い方をすれば再利用が可能です。ペンキには油性と水性の2種類がありますが、どちらを塗装した場合でもローラーは使い回しできます。ただし、洗浄が不十分だったり誤った洗い方をしたりすると、次の塗装で仕上がりが悪くなる可能性があるので注意が必要です。
また、ローラーの洗い方は水性ペンキの方が容易で、油性ペンキの方が少々手間がかかります。ペンキ塗装の際は、ローラーの洗浄も含めてしっかり準備しましょう。
このコラムでは、ローラーを再利用するための正しい洗い方を、油性ペンキと水性ペンキそれぞれで紹介していきます。 後片付けの注意点もまとめるので、これからローラー塗装する方はぜひご一読ください。
目次
油性ペンキ塗装後のローラーの洗い方

まず、前提として、ある程度乾いた油性ペンキは水で落とせません。油性ペンキ塗装後のローラーを洗うには専用液が必要になるため、使用するペンキに合わせて準備しておきましょう。油性ペンキを落とすのに有効な専用液の種類、そして塗装後のローラーの洗い方をまとめてみていきます。
ペイントうすめ液やハケ洗い液を用意する
一般的に、油性ペンキを落とすのに使用されるのは「ペイントうすめ液」です。ペイントうすめ液は塗料用シンナーとも呼ばれており、ペンキを薄めて粘度を下げ、洗浄や塗装をしやすくするために用いられています。ミネラルターペンという脂肪族炭化水素を主成分とし、溶解力はやや低め、灯油に似た臭いを発するのが特徴的です。
ラッカー系塗料を落とす際はペイントうすめ液では溶解力が弱いため、ラッカーシンナーと呼ばれる専用液を使用します。 樹脂を溶解する作用のあるトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが含まれているため、臭いが強く、有毒性が高いため取り扱いに注意が必要です。
また、ペイントうすめ液の代わりに「ハケ洗い液」も使用できます。こちらはペンキの希釈には使用できませんが、少量で洗浄できて後は水洗いするだけなので便利です。
その他、アクリルやウレタン、メラミンなど塗料の種類に応じたシンナーがあるので、相溶性を確認して選びましょう。相溶性の高いシンナーを使用すれば、洗浄時間もコストも削減できます。
ペンキが出なくなったら、ペイントうすめ液を入れた容器にローラーを浸し、洗浄します。ペイントうすめ液で洗う前に、灯油で下洗いしておくと効率的です。
ローラーを容器の底を擦るように動かし、ペンキを押し出していきます。
十分に洗浄したら、台所用中性洗剤で水洗いします。軽く押し洗いをする、手で絞るなどを行い、ペンキが出ないことを確認してください。洗浄時にハケ洗い液を使用した場合は、洗剤で洗う必要はなく、水洗いだけでOKです。
洗浄後は、風通しの良い場所で陰干しして乾燥させます。
水性ペンキ塗装後のローラーの洗い方

塗装に使ったのが水性ペンキであれば、ローラーは水洗い可能です。
油性ペンキのように、専用液を用意する必要がないため、水性ペンキの方がローラーを簡単に洗えます。
油性ペンキ塗装後にもいえることですが、水性ペンキ塗装後はペンキが固まってしまわないよう、ローラーを水に浸けておきましょう。もちろん、塗装後すぐに洗うのがベターですが、洗うまでに時間を置く場合は必ず水に浸けておきます。
ここでは、水性ペンキ塗装後のローラーの洗い方を解説します。
新聞紙などでペンキを拭き取る
油性ペンキ同様、水性ペンキ塗装後も、洗う前にペンキをヘラや割り箸などでそぎ落とします。すぐに水洗いを始めてしまうと、ペンキを落とすのに時間がかかりやすいので、新聞紙などに塗りつけ、できるだけローラーのペンキを落としておくのがポイントです。
中性洗剤で水洗いする
一旦、水道水でローラー表面の水性ペンキを落とします。水性ペンキは水洗いだけで綺麗に落とせる場合もありますが、そのまま乾燥させるとローラーがごわついてしまうことがあります。次回使用時のごわつきをなくすためにも、中性洗剤で洗うのがおすすめです。
とはいえ、洗剤を大量につける必要はなく、1~2滴で十分。洗剤がローラーに残らないよう、軽く押し洗いや揉み洗いをして、しっかりと水ですすぎましょう。
水洗い後は、風通しの良い日陰に干して乾燥させます。
ローラーに湿気が残った状態で保管すると、カビの発生や劣化に繋がります。
完全に乾いてからビニール袋に入れて保管するか、すぐに塗装の予定がある場合は、風通しの良い場所に置いておきましょう。
ペンキがついた新聞紙や余ったペンキの捨て方

安心安全、かつ快適にDIYを楽しむためにも、「ペンキの捨て方が分からない」という方は、正しい処分方法を把握しておきましょう。
新聞紙や布は家庭ごみに出せる
ローラーのペンキを落とすのに使った新聞紙や布は、自治体のルールに従って家庭ごみに出せます。水性ペンキは水で固まりやすい性質があるため特別な処理はいりません。しかし、油性塗料がついた新聞紙や布は捨てる時に注意が必要です。
油性塗料に含まれる油が酸化反応を起こすと、自然発火する恐れがあります。塗料がついた新聞紙や布を何枚も重ねたり、ビニール袋などに入れたりすると、高密度の状態で温度が高くなり、発火の危険性が高まります。
とはいえ、すべての塗料が自然発火するわけではなく、アルキッド樹脂系塗料など一部の塗料で起こる現象です。 安全のため、新聞紙や布を自然乾燥させた後、水に濡らしてから捨てるようにしましょう。
余ったペンキは下水道に流さない

塗装で余ったペンキは、油性・水性問わず下水道に流してはいけません。
万が一流してしまうと、排水管の詰まりや下水道管の破損のリスクが生じます。水質汚染や環境汚染にもつながるため、適切な方法で処分しましょう。
残ったペンキが少量であれば、新聞紙に塗り広げて乾燥させ、燃えるごみで捨てることが可能です。アルキッド樹脂系の油性ペンキを捨てる際は、発火の可能性を防ぐため、乾燥させた後水に濡らしてゴミに出してください。
余ったペンキの量が多い場合、市販の塗料固化剤(残塗料処理剤)を使用して廃棄します。塗料固化剤には「高吸水性樹脂」が含まれており、ペンキを容易に凝固させられます。
処分方法は以下の通りです。
1、ペンキを別の容器(バケツなど)にまとめて入れ、容器の中の固まったペンキもかき出します。水性塗料の場合は水で薄めてかき出せます。
2、まとめたペンキに少量ずつ固化剤を入れながら、混ぜます。
3、ペンキに粘りが出るまでよく混ぜ、おから状にします。
4、固化したペンキを新聞紙の上にのせて乾燥させます。
5、そのままゴミ袋に移して燃えるごみとして処分します。
意外なことに、ペンキは液状では捨てられませんが、固めれば家庭ごみに出せるんですね。 ペンキの容器も、中を拭き取って乾燥させれば資源ごみや一般ごみで出せます。 ただし、ルールは自治体によって異なるため、念のため再確認しましょう。
例外として、有害物質を一切含まないオーガニックペイントなどのペンキは、下水に流すことが可能です。シンナーやVOC、抗菌剤不使用であれば環境を汚染する心配がありません。
シンナーや灯油は業者の回収が必要な場合も
シンナーや灯油などは有害性や危険性があるとされているため、収集不可とする自治体が多いです。しかし、少量であれば、新聞紙などに広げて乾燥させれば、燃えるごみに出せます。大量に処分が必要な場合は、廃棄物処理業者に依頼するか、自治体の担当部署に問い合わせて適切な処置方法を仰いでください。販売店や製造元で回収しているケースもあります。
自治体に問い合わせた場合、多くは業者を紹介してもらうことになります。
まとめ|ペンキ塗装後のローラーの正しい洗い方や後片付けを徹底しましょう

DIYを趣味として続けるには、塗装の知識だけでなく、塗装道具やペンキの扱い方も知っておきたいものです。ペンキ塗装後のローラーの正しい洗い方や後片付けを徹底して、環境への負担を最小限に抑えましょう。
ローラーを洗うのが面倒であれば、使い捨てて買い替えるのも一つの手です。しかし、せっかく選んで購入した塗装道具なので、なるべく長く使えたら言うことありませんよね。
油性ペンキを使うと、塗装後のローラーの洗い方や後片付けに手間がかかります。水洗いできて後片付けも楽なのは水性ペンキです。
塗装DIY初心者の私でも、水性ペンキはローラーの洗浄にあまり時間がかからず、後片付けで苦労することもありませんでした。
ペンキを選ぶ際は、ローラーの洗浄や後片付けの手間も考慮してみてくださいね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!