リフォームや室内塗装、DIYをおこなう時に選択肢の一つになるのが「自然塗装(自然塗料)」です。
自然塗装について詳しく知らない方も、なんとなく環境にやさしそう・子どもやペットへの影響が少なそうといったイメージを持っていると思います。
その一方、自然塗装は本当に安全なのか。通常の塗装と何が違うのか。デメリットやリスクはあるのか。といった不安を持っていませんか?
この記事では、自然塗装とは何か、どんな塗料かを分かりやすく解説していきます。特徴やメリットだけでなく、デメリットや注意点もご紹介します。
目次
自然塗装(自然塗料)とはどんな塗料?

自然塗装で用いられる自然塗料について詳しくみていきましょう。
原料と特徴
自然塗料は、原料に植物性油脂や天然樹脂が用いられており、石油系樹脂や有機溶剤、合成顔料が用いられていない塗料です。 自然塗料に明確な定義はありませんが、ここでは、天然成分100%か、それに近い割合で天然成分が使用されたものとします。一般的なペンキは塗装面に塗膜を作りますが、自然塗料は基本的には塗膜を作りません。こういった特徴を持つことから、自然塗料は「含浸系塗料」とも呼ばれます。
以下に、基本的な特徴をまとめます。
時、質の高い塗料を選ぶことはとても重要です。
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原料 |
植物性油脂(ひまわり油、亜麻仁油)や天然樹脂(松脂、漆)など |
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塗膜 |
基本的には作らない |
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耐久性 |
ペンキよりも低い |
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メンテナンス性 |
高い(DIYで塗り直し可能) |
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耐水性、防汚性 |
種類によってはあり |
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臭い |
原料由来の油っぽいにおいや甘いにおいがすることがある |
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仕上がり |
素材本来の風合いが残る |
オイル系自然塗料
オイルを浸透させる塗料で、塗膜を作らない。木材の質感が出やすい。ワックス系自然塗料
オイル同様、浸透する塗料だが、防汚性が高く無塗装に近い質感になる。オイルワックス系自然塗料
オイル系とワックス系の利点を活かした塗料。防汚性がある。ワニス系自然塗料
塗膜を形成するため、木材の保護性能が高い。以降では、自然塗料のメリットやデメリット、注意点を順に説明します
自然塗装(自然塗料)のメリット

ペンキとの違いが出やすい部分なので、DIY塗装で塗料を選ぶ際に確認しておきましょう。
素材本来の美しさを引き出せる
素材本来の美しさを引き出せるのが自然塗料の大きなメリットです。 ペンキは塗装面に硬い皮膜を形成し、下地の隠ぺい力が高い塗料なので、木目が隠れます。対して自然塗料は、下地の隠ぺい力があまりないため、木目を活かした仕上がりになります。浸透させて着色するため、硬い皮膜を作らず、発色が穏やかになるためです。 下地の隠ぺい力が低い特性は、素材の表情を見やすくします。木材以外の土壁や壁紙、コンクリートに塗装する場合でもメリットになることがあります。木材の調湿機能が保てる

ある研究では、以下のような実験結果が出ています。
・自然塗料やアクリル系の水性塗料を塗装した場合、無垢材に近い吸湿性能が保持される
・ポリウレタン樹脂の塗料を塗装すると、吸湿性能が大幅に低下する
・アクリルラッカー系塗料では、やや低下する
こうした研究結果からも、自然塗料は木材の呼吸を妨げず、調湿機能が保たれることが分かります。
経年で風合いが出やすい
自然塗料は木材の手触り感や質感がそのまま残せるため、経年による風合いが出やすいです。一般的な木材は、紫外線による色の変化や酸化による濃淡の変化が生じます。変色の仕方についても、樹種によって異なり、色が濃くなるものもあれば薄くなる(明るくなる)ものもあり、それを楽しめるのも自然塗料のメリットです。
例えば、ヒノキなら白褐色から飴色へ、スギなら白褐色から黄褐色へと変化します。
環境や人体にやさしい
自然塗料は天然由来の成分が主体となった塗料なので、環境や人体にやさしい特徴があります。一般的な塗料は、樹脂・溶剤(希釈剤)・顔料・添加剤の4つの成分で構成されています。
このうち、溶剤は樹脂を溶かすためのもので、油性塗料では有機溶剤が使用されます。
有機溶剤にはトルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどが含まれたシンナー類が用いられるため、きつい臭いが発生し、環境や人体に悪影響を及ぼす可能性が高いです。シックハウス症候群の原因になるVOC(揮発性有機化合物)も多く含まれます。
自然塗料では、植物性アルコールや水などの毒性が低い、あるいは無害な溶剤が用いられます。低臭や低VOCを特長とする製品も多いです。
中には、食品衛生法に適合したものもあり、赤ちゃんの玩具に使用できるものもあります。
自然塗装(自然塗料)のデメリット

メンテナンス頻度が高い
自然塗料はペンキに比べて耐久性が低いため、メンテナンス頻度が高くなります。オイル系もワックス系も耐久性に大差はなく、1年に1〜2回の塗り直しが必要とされています。また、表面に塗膜がない分傷が付きやすく、水拭きができないものが多いです。
ただし、自然塗料は主成分である樹脂の種類によって耐久性が変動します。
例えば、植物油では「ヨウ素価」の数値が高いほど硬化性が高いです。つまり、高い木材保護効果が期待できます。(※ヨウ素価とは、油脂100gに付加できるヨウ素のグラム数を表すもの)
乾燥時間が長い
自然塗料はペンキに比べて乾燥時間が長い傾向にあります。製品ごとに乾燥時間の目安は異なりますが、だいたい12〜24時間の乾燥時間を取る必要があります。ペンキの一般的な乾燥時間は、油性塗料で1〜5時間程度、水性塗料で30分〜2時間程度です。季節や温度、湿度によって長くなることはありますが、自然塗料と比較すると短時間で乾燥します。
自然塗料の乾燥時間についても、ヨウ素価の数値に影響を受けます。ヨウ素価が高いほど速乾性に優れており、短時間で乾燥します。ヨウ素価が低い不乾性油の中には、空気中で固まらないため塗料に向かないものもあります。(椿油や菜種油、オリーブオイルなど)
自然塗料を検討する際は、樹脂の種類を確認することをおすすめします。
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ヨウ素価 |
耐久性 |
乾燥時間 |
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130以上(乾性油) |
高い |
短い |
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100~130(半乾性油) |
普通 |
普通 |
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100以下(不乾性油) |
やや低い |
長い |
自然塗装(自然塗料)の注意点は?必ずしも安全ではない?

自然塗料を選ぶ際の重要な要素は「成分」です。塗料の選び方によっては「必ずしも安全ではない」のが、自然塗料で注意すべきところ。着目したいポイントを解説します。
有機溶剤が含まれる場合がある
冒頭で申し上げたように、この記事では天然成分100%か、それに近い割合で天然成分が使用されたものを自然塗料と定義しています。しかし実際には、自然塗料の明確な基準が定められているわけではなく、「自然塗料」と記載されていても有機溶剤が含まれている場合があります。有機溶剤のほか、性能確保のため最小限の添加剤が使用されるケースもあるので注意が必要です。
安全性や人体に無害な成分にこだわる方は、塗料を選ぶ際、メーカーの公式サイトで安全データシート(SDS)・製品安全データシート(MSDS)を確認しましょう。
ホルムアルデヒドやVOCを放出するものもある

シックハウス対策として、建築基準法ではホルムアルデヒドの放散量が制限されています。これは、居室の面積や換気回数などにより、ホルムアルデヒドを発生する建材(壁紙や塗料を含む)の使用が制限されるというものです。
ホルムアルデヒドの放散量は「F」と☆マークで示されます。もっとも放散量が少ないものは「F☆☆☆☆(フォースター)」で、使用制限がありません。「F☆☆☆」「F☆☆」などは放散量が多いため、使用面積が制限されます。
自然塗料の中には、F☆☆☆☆(フォースター)よりも多くホルムアルデヒドを放出するものもあるため、シックハウスやアレルギーの原因になる可能性があります。
刺激性のある植物油も存在する

例えば、松脂系のテレピン油は、乾燥を早めるメリットを持つ反面、揮発性が高く皮膚や呼吸器に刺激を与える可能性があるとされています。独特な刺激臭があることから、人によっては臭いが気になる場合もあるでしょう。
また、オレンジ油やレモン油など柑橘油についても、刺激性は少ないものの、吸引や皮膚への付着でアレルギーを起こすリスクがあるとされています。
赤ちゃんがいる家庭やアレルギー体質の方がいる環境では、一つ一つの成分をチェックしておくと安心ですよ!
まとめ|自然塗装とは天然成分の塗料で素材を活かす塗装法
この記事では、自然塗装とは何か、自然塗料のメリット・デメリット・注意点を解説しました。通常の塗料との違いは、天然成分で素材本来の風合いを活かす性質を持つところにあります。一方で、デメリットやリスクもあり、100%安全とは言い切れない点には注意が必要です。
混同しがちですが、自然塗料とオーガニックペイントは異なります。オーガニックペイントは、有害物質やVOCをはじめ、抗菌剤や抗菌薬、防腐剤を一切含まない塗料です。食品グレードで製造されているので、環境や人体に無害、口に入れても安全性が高いといえます。
素材本来の美しさを引き出したい場合は自然塗料、人体への影響を最小限に抑えたい場合はオーガニックペイント、といった選び方がおすすめです。

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!
